参院選・沖縄選挙区の情勢を探る(下)安里陣営 辺野古で自公温度差


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那覇支部大会でガンバロー三唱する安里繁信氏(右端)と公明党沖縄方面本部の糸洲朝則本部長代行(右から2人目)、日本維新の会沖縄総支部の當間盛夫幹事長(同3人目)=6月24日、那覇市の県市町村自治会館

 「まさに沖縄保守の大同団結だ」。6月22日、シンバホールディングス前会長で新人の安里繁信氏(49)=自民公認、公明、維新推薦=の政策発表に先立つ全市町村支部長および全体会議で、安里氏を支援する「新しい沖縄を創る県民の会」の西銘順志郎会長は、集まった首長や県議、市議らに呼び掛けた。自民党、公明党、日本維新の会が連携する「自公維」態勢で一堂に会して選挙運動方針を確認するのは初めてだという。

 「開かれた候補者 安里氏は次期沖縄振興計画の策定を重要施策として訴える。若年層を中心にSNSなどで自身の考え方を広める一方、企業の朝礼や模合などの会合回りを徹底するなど新旧の選挙手法を融合させている。政治の世界では新人だが、過去に日本青年会議所の会頭や沖縄観光コンベンションビューロー会長などを歴任し、知名度は比較的高く、無党派層の取り込みには一定の自信をのぞかせる。鍵を握るのは、基礎票をどこまで固められるかだ。

 1月に自民党県連が安里氏の擁立を決めた際には、公明内の一部には反発の声もあった。しかし6月22日の政策発表で、安里氏が名護市辺野古移設問題について、県民投票で反対の民意が示されたことなどから「口が裂けても推進とは言わない」と発言。普天間飛行場の県内移設に反対する公明党県本内からは「100点満点」(県本幹部)と高く評価する声が出た。

 一方で自民党県連内には、辺野古を巡る発言に不満もくすぶる。昨年9月の知事選での敗北を教訓に、4月の衆院3区補選で島尻安伊子氏が移設容認を打ち出した。県連としても「普天間の危険性除去のために辺野古を容認する」という姿勢を前面に打ち出した直後だけに「特に(名護市のある)3区はブレーキがかかった」(県連幹部)と吐露する。

 安里氏の辺野古問題への姿勢は、選挙の実働部隊となる市議、県議の運動量を左右しそうだ。支持基盤の引き締めと無党派層の取り込みを同時並行で進めていくためにも、今後は選対と自民県連の意思疎通が綿密に図れるかが焦点となる。

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 4日公示、21日投開票の参院選に向け、沖縄選挙区(改選1議席)には琉球大名誉教授で無所属新人の高良鉄美氏(65)とシンバホールディングス前会長で新人の安里繁信氏(49)=自民公認、公明、維新推薦=が立候補を表明し、事実上の一騎打ちの構図となっている。両陣営は既に激しい前哨戦を繰り広げている。今選挙の情勢や各陣営の動向などを追った。 (’19参院選取材班)