【南部九州総体2019】有力選手紹介〈1〉 男子円盤投げ・藤原孝史朗(沖縄カトリック) 追われる立場から有終V誓う


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
男子円盤投げで全国の頂点と日本高校記録更新を狙う藤原孝史朗(沖縄カトリック)=6月28日、宜野湾市の沖縄カトリック中学・高校

 全国ランキング1位の記録を持つ男子円盤投げの藤原孝史朗(沖縄カトリック)が、地元沖縄での全国総体に挑む。「追われる立場となったが、地元の応援も借りて優勝したい」と頂点を狙いに行く。

 中学3年で陸上を本格的に始めた。当初は砲丸投げが専門で、円盤投げはサブ種目だった。高校1年から2種目で全国大会に出場。しかし、右肘のけがや国体種目に砲丸投げがなかったことなどから、2年の夏に円盤投げに専念するようになった。「円盤投げは練習していなくても距離は伸びていったし、けがの影響もなかった」

 学校での練習は毎日1時間半ほどしかできない。校庭も他の部活との共用で、スペースを取る投てきが使える時間は少ない。専門の指導者もおらず、練習方法も独学の手探りだ。全国で戦う選手としては決して恵まれた環境とは言えないが、帰宅後にジムに通ったり、ターンの練習をしたりと日々鍛錬に励んだ。「一人で向き合う時間が長かった。その時間が大切だった」

 この2年間の大会では試技のミスを引きずり、全国の大舞台で結果が出せない期間が続いた。2年の冬から試合形式の練習を取り入れ、さらに全国合宿に参加し、強豪選手と一緒に練習したことでミスが減って、スローへの自信につながった。

 初めて全国大会を見たのは2010年の美ら島総体。当時の先輩たちが活躍した場所に今度は藤原が自ら立つ。「まさか同じ会場で全国総体に出られるとは思わなかった。運命を感じる」。6月、今季の全国ランキング1位となる53メートル57を投げた。自己ベストを4メートル近く更新し、ランク2位を約2メートル上回る。周囲の期待は高まるが、追われる重圧はほとんど感じていないという。「自分の投げをするだけ。日本高校記録は視野に入れているが、勝つことが一番」。3年連続の出場となる最後の全国総体でのビックスローを誓う。

    ◆   ◆   ◆

 沖縄、鹿児島、宮崎、熊本の4県で合同開催される2019年度全国高校総体「南部九州高校総体」が7月27日から8月20日まで行われる。28競技中8競技が沖縄で実施。沖縄では2010年の美ら島総体以来の開催で県内から約500人が全国の頂点を狙う。高校生アスリートが熱く燃えるスポーツの祭典に向け、練習に汗を流す選手たちに、意気込みや思いを聞いた。