玉城デニー知事の「全国キャラバン」に与野党から出た疑問の声とは? 県議会代表・一般質問を振り返る


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玉城デニー知事

 沖縄県議会6月定例会は2日、代表・一般質問が終了した。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の埋め立て工事で、工事中止を掲げる玉城デニー知事の「対話」路線の有効性と今後の対応に質疑が集中した。

 昨年10月の就任以降、安倍晋三首相と5、6回面談したと説明した玉城知事に対し、金城勉氏(公明)は「5、6回も会ったならもっと実のある対話ができるのではないか」と疑問視。埋め立て承認の撤回を取り消した国土交通相の裁決を、不服として国地方係争処理委員会に処分取り消しを求めたが却下されたため、県は7月に提訴する方針だ。「対話」を求めながら提訴に踏み切ることの整合性を問われた玉城知事は「政府に対し言うべきことは言い、問題点を指摘しながら必要に応じて連携して取り組むことが重要だ」と矛盾しないとの見解を示した。

 辺野古新基地建設問題を国民的議論につなげるシンポジウム「全国キャラバン」も焦点となった。辺野古移設に疑問を投げ掛けてきたシンクタンク「新外交イニシアチブ」がプロポーザル方式で受注したことを自民の県議らが疑問視。「公費を使った集会で、ふさわしくない」(沖縄・自民、座喜味一幸氏)との指摘に対し、池田竹州知事公室長は「基地負担や辺野古移設、日米地位協定の問題について国民的機運を醸成し、考える場として設けた」と理解を求めた。

 一方、全国キャラバンを巡っては与党内からも効果に疑問の声が上がった。赤嶺昇氏(おきなわ)や玉城満氏(同)から「反対の人ばかり集まっていないか。推進派とも議論した方がいい」などの提言があったが、玉城知事は「そのような提言を含めてしっかりと告知していく」と述べるにとどめた。

 中国公船による尖閣諸島周辺の領海侵入や中国政府が提唱する広域経済圏構想「一帯一路」に対する玉城知事の姿勢にも野党から質疑が集中した。池田公室長は「河野太郎外相にわが国の漁船の安全操業の確保に向けた体制の強化、違法操業を行う外国漁船に対する取り締まりの徹底などを要請した」と応じた。

 玉城知事が一帯一路に前向きな発言をしたことについて嘉数登商工労働部長は「経済連携の交流を深めていきたいとの思いからだ」としつつ、日本政府の意向に反して県単独で参加することには否定的な見解を示した。
 (松堂秀樹)