自衛隊情報保全隊は過去にどんなことをしてきた?一般市民を監視対象に 国に賠償命令も


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 情報保全隊を巡っては2007年6月、陸上自衛隊のイラク派遣に批判的な県内の市民団体や個人などを監視し、その内容を記録した内部文書の存在が明らかになった。県内で「戦争に向かっているようだ」と波紋が広がった。

 情報保全隊は、自衛隊のイラク派遣に反対していた市民団体や政党など、全国289の団体・個人の情報を収集。隊が作成した文書は、反対集会やデモに関する発言内容や規模などが詳細に記録されたほか、集会参加者も撮影されていた。県内では、沖縄弁護士会や沖縄平和運動センターなど15団体、5個人が監視対象となっていた。

 07年10月、東北6県の住民らが国に監視の差し止めと損害賠償を求めて仙台地裁に提訴。1審で監視対象者だった5人に対する損害賠償を命じられた国と、原告の双方が仙台高裁に12年に控訴。高裁では1人に対し、損害賠償が認められた。差し止め請求は1、2審とも却下された。国は上告を断念し、判決が確定した。

 07年、当時の守屋武昌事務次官は会見で「イラクに派遣される自衛隊の士気を失うような報道や反対行動があった」とし「任務を遂行できるような体制をつくるために必要だった」と正当性を強調した。だが、ヘリ騒音による一般住民からの苦情電話など、イラク派遣とは関係のない記載も見つかり、守屋氏の説明との矛盾が明らかになった。13年には、元情報保全隊長が裁判で同隊が一般市民も対象に監視活動を実施していたことを認めた。