「盲導犬リーチありがとう」 全盲の女性支え8年余 島離れる前に村人が見送り


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島を離れるリーチと金城美千代さん(前列中央)。多くの島民がリーチを見送ろうと集まった=7月、伊江港(撮影・知念光江通信員)

 【伊江】8年3カ月にわたり全盲の金城美千代さん(56)=伊江村川平区=を支えたラブラドールレトリバーの盲導犬リーチが6月30日で引退した。沖縄県内の盲導犬で初めて離島で活動したリーチ。10歳と高齢になったため、今後は沖縄本島のボランティアに引き取られペットとして過ごす。本部港までリーチを見送った金城さんは「寄り添ってくれてありがとう。お疲れさまでした」とねぎらった。

 リーチは2011年3月、九州盲導犬協会からやって来た。30歳の時に網膜剥離で全盲となった金城さん。盲導犬と暮らすのは初めてだった。リーチが来てから白杖なしで外出できるようになり、行動範囲が広がったという。金城さんは「ふたりで船やバスに乗って那覇に行ったり、飛行機で福岡まで行ったりしたこともある。各地のマラソン大会に毎年出場し、共にいろんな場所を走った」と振り返る。リーチと共に島内の小学校に招かれ話をすることで、盲導犬の役割や正しい接し方が島民に浸透していったという。

 伊江を離れるリーチを見送ろうと、港には多くの島民が集まった。金城さんは「離れるのは寂しいが、これからはのんびり過ごしてほしい」と話した。