「購買意欲を刺激る」「選択肢増え」 沖縄経済界、セブン開業に期待 競合各社は競争激化へ集客強化


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 コンビニエンスストア大手のセブン―イレブンが11日、全国唯一の空白地域だった沖縄に進出した。14店舗が県内で同時に開業し、各地でセレモニーを開いて門出を祝った。店舗は買い物客でにぎわい、セブン側は今後の事業拡大に強い意欲を示す。県内の小売業界を巻き込んだ競争環境は、商品やサービスの向上という消費者にとっての恩恵から、既存事業者の選別という厳しさまで、さまざまな影響が予想される。「黒船」の上陸に伴い、沖縄は新たな時代を迎える。

多くの人が駆け付けたセブンーイレブンのオープニングセレモニー=11日午前6時30分、那覇市松山

 日本銀行那覇支店の桑原康二支店長は、新たな店舗の開業が消費者の購買意欲を刺激し、県経済にプラスの影響を与えると見る。その上で、事業者間の競争は今以上に激しくなることから「個別の店舗では従来の売り上げが減少する可能性もある。企業収益にとってマイナスの要因も考えられる」と指摘した。

 おきぎん経済研究所の仲本功主任研究員は、コンビニ大手セブンの進出が県経済にインパクトを与えると分析する。「消費者の期待が高まり、選択肢が増えることは沖縄にとってメリットになる」と強調。セブンは総菜にも力を入れていることから、コンビニだけではなくスーパーも競争相手になると考える。「スーパーやドラッグストアの市場からセブンに顧客が流れることもあるはずだ」と見通した。

 りゅうぎん総合研究所の上原優奈研究員は、県内の競争環境が変化する中で「県民や観光客のニーズを取り込むことが鍵を握る」と指摘。セブンが250店舗を展開すれば既存のコンビニに影響を与えることは間違いなく、「商品で差別化することも重要になる」と語る。今後の県経済の動向や消費増税の影響なども、各社の戦略を左右する可能性が高いという。

 セブンの競合店となる既存コンビニは自社の取り組みを強化して集客を図る。

 沖縄ファミリーマートの野﨑真人社長は「今後はスーパーを含め小売業全体を巻き込んだ戦いになる」と気持ちを引き締める。沖縄ファミマは地元出身の社員がほとんどで、県民の好みに合わせた商品開発をしているという。「沖縄で32年業務をやってきた。商品開発の姿勢は変えない。正々堂々と正面から戦い、県民と培ってきた強みをさらに高める」と語った。

 ローソン沖縄も「セブンが進出したからどうこうではなく、今まで積み上げてきたことを愚直に続けていくだけだ」との見解を示す。セブンの開業初日の段階では影響は見通せないとした上で、「ローソンはローソンのやり方でお客さまの支持を得てきた。選んでいただける店舗づくりに、これからも取り組む」とコメントした。