沖縄県「環境影響への検討不十分」 辺野古軟弱地盤改良の国報告書で結論付ける


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軟弱地盤が存在する大浦湾一帯=名護市辺野古

 国が2019年1月に軟弱地盤の改良工事を検討した報告書に関して沖縄県は17日、報告書の分析結果を公表し「環境影響の検討が不十分で懸念を払拭(ふっしょく)できない。工事全体の工期を大幅に延伸するものだ」と結論付けた。玉城デニー知事は同日県庁で開いた会見で「検討内容は、地盤改良工事のみによる影響を切り出した客観性に欠ける恣意(しい)的なものだ」と述べた。

 地盤改良工事による環境への影響の懸念に関して県は(1)陸域工事を含めた影響が検討されていない(2)水面下70メートル程度までしか地盤改良が計画されていない(3)90隻を超える作業船が大浦湾を蛇行することで、ジュゴンやウミガメなどの移動が阻害される懸念がある(4)砂ぐいを打ち込むことで生じる水の濁りに対する対策が示されていない(5)改良工事全体による海底振動の影響が考慮されていない(6)海底の改変に関して影響予測・評価がなされていない―の6項目を指摘した。

 報告書によると、地盤改良工事で90隻を超える作業船が約7万7千本の砂ぐいを打ち込む作業が追加される。県は「報告書は、大規模な地盤改良工事により生じる恐れがある、さらなる環境影響の懸念を払拭できるものではない」と強調した。