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「陣取り合戦になる」過熱する出店競争 時短営業への対応も注目 コンビニ激闘時代(5)〈熱島・沖縄経済〉54


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
国内外の観光客でにぎわう国際通りには多くのコンビニが立地する=17日、那覇市

 沖縄進出を果たしたセブン―イレブンは、5年で250店舗まで拡大する戦略を描く。県内は6月末時点でファミリーマートが325店舗、ローソンが232店舗を展開しており、セブンの参入によって各地で出店競争の激化が予想される。セブンは県内でもトップのシェアを目指すことを目標としており、県内の既存店は警戒感を強めている。

 帝国データバンク沖縄支店のまとめでは、人口10万人当たりのコンビニ数は沖縄は38・6店で全国45位となっている。人口ベースで見ると全国で下位に位置しており、同支店は「沖縄はまだまだ出店の余地がある」と分析する。しかし、セブンが250店舗まで伸ばした場合は10万人当たりで56店舗近くに跳ね上がり、全国3位のコンビニ競合地域になる。

 那覇市の中心地や人口密集エリアでは、各コンビニが出店を加速させる可能性もある。既存店舗から条件がいい企業へのくら替えが起こるとの見方も出ている。県内の不動産関係者は「各社が陣取り合戦やオセロ風ゲームのように競争する状況になるだろう」と語る。沖縄国際大学経済学部の宮城和宏教授は「各社共に利用者がアクセスしやすい合理的な立地に出店するはずで、同じ地域でパイの奪い合いになることも考えられる」と語る。

 県内はコンビニに加えてスーパーやドラッグストアの開業も増えており、今後は小売業全体での競合も発生する。沖縄ファミリーマートの野﨑真人社長は「県内で出店ができる場所は限られている。セブンの進出で今まで以上に厳しい環境になる」と強調する。

 競争環境が激しくなる中で、コンビニ業界では24時間営業の見直しを求める動きも強まる。人手不足の深刻化に伴い県内のコンビニオーナーからも時短営業を求める声は多く上がる。全国的には時短営業の実験実施など、コンビニ各社が対策を進めている。

 セブンの現地子会社セブン―イレブン沖縄の久鍋研二社長は「お客さまから見たときに24時間営業が必要か判断して決める」と説明する。沖縄ファミマの野﨑社長は「時短営業の要望があれば加盟店と協議して個別に対応する」と語る。ローソン(東京都)の竹増貞信社長は「(最終的に)オーナーの判断になる」との考えで、時短営業に柔軟な姿勢を示す。

 好調な県経済を背景に、県内では大型商業施設の開業や大手コンビニの進出が続く。競争環境の中で各社がしのぎを削り、商品開発やサービスの質が向上するとの期待もある。一方で人手不足の深刻化などマイナスの側面も数多くある。好況を維持する沖縄の市場は、国内外から注目されている。今後も新たな事業者の出店が続く可能性は高く、沖縄経済はめまぐるしく変化しながら前進する。

(「熱島・沖縄経済」取材班・平安太一)

(第1部おわり)