【記者解説】「爆買」に陰り次ぎの戦略は?


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 入域観光客数の増加に後押しされて、2018年度の観光収入は前年度比5・1%増の7334億7700万円と過去最高を記録した。観光客1人当たりの沖縄県内消費額は7万3355円で前年度を上回ったものの、伸び率は0・7%にとどまった。県は2021年度に観光収入を1兆1千億円まで引き上げることを目指す。目標達成のために、県内消費額の拡大に向けた施策の推進が課題となる。

 1人当たり観光消費額は国内客が前年度比6・2%の増加だった一方で、外国人は空路客が10・1%減、海路客が5・1%減と共に前年度を大きく下回った。中国客が大量の商品を購入する「爆買い」が見られなくなったことや、ビジネスホテルなど安価な宿泊施設の利用が増えていることが背景にあるという。

 項目別では「土産・買い物費」が国内客と外国客の両方で前年度より減少した。消費額拡大にはマリンレジャーなど体験型観光の推進と同時に、魅力ある土産品の開発も求められる。

 県は滞在日数が長い欧米の観光客や富裕層の誘客で観光収入の上昇につなげる考えだ。県文化観光スポーツ部は「中長期的に取り組むべき課題」としており、直通便の誘致など具体的な施策が進むか注目される。

 20年3月の那覇空港第2滑走路の運輸開始を控えるほか、新たなクルーズ船ターミナルの整備計画が進み、今後も観光客数の増加が見込まれる。観光収入の上昇で県経済を活性化させるために、官民が連携した取り組みも重要となる。
 (平安太一)