3連覇へ王者興南 西里、遠矢ここ一番の動き 夏の甲子園沖縄大会


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興南―美里工 3回無死二塁、左方向へ安打を放ち好機を広げた西里颯=20日、那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇(大城直也撮影)

 高校野球の第101回全国選手権沖縄大会第12日は20日、沖縄セルラースタジアム那覇で準決勝2試合を行い、3連覇の懸かる第1シード興南と、2年続けて8強で涙を飲んでいた沖縄尚学が決勝進出を決めた。

 それぞれの持ち味を生かし、少ない好機を確実にものにする勝負強さで興南が3連覇に王手をかけた。

 初回から連続して併殺に終わった攻撃の重たい空気を2年の2番西里颯が変えた。三回1死二塁で打席へ。「フライだとランナーが進まない」と左前へしぶとく運び、一、三塁と好機を広げる。続く勝連大稀の打席ですかさず二盗。勝連の犠飛で同点とした後、盗塁が功を奏し、宮城大弥の二塁打で勝ち越しの本塁を踏んだ。

 1打席目は犠打を決め、3打席目は四球を選んだ。昨年は下位だったが「今年は上位にいる。しっかりチャンスをつくる」と、チームプレーに徹する2番の仕事を確実にこなした。

 もう一人のヒーローは捕手の遠矢大雅。初回に返球をこぼして走者をタッチできず、先制点を許した。悔しさを打撃で晴らすチャンスがきたのは六回2死一、三塁の場面。狙っていた高めのスライダーを左中間にはじき返し、リードを広げる2点を奪う。二回以降に調子を上げた宮城を打撃でもり立てたいとの思いがあった。「宮城を援護したいのと、しっかり走者を返したかった」

 次戦は3連覇の懸かる決勝。昨年の決勝では無安打だった西里は「今年はしっかり振っていく」と決意。遠矢は「足元を見詰め、自分たちの野球をする」。昨夏の甲子園を経験した2人がここ一番の働きでチームをけん引する。

 (長嶺真輝)