HIV感染症やエイズの正しい知識の普及を図ろうと、那覇市医師会は8月から健康診断や人間ドックの受診者にHIVと梅毒の無料検査を提供する取り組みを始める。同市東町の同会生活習慣病検診センター利用者を対象に、1日から「HIV・梅毒無料検査」の申し込み用紙を健診資料に同封して送付する。大阪健康安全基盤研究所との共同研究事業で来年3月まで続け、検査ニーズや受検促進の可能性などを調査する。
全国的にHIV検査を提供する健診センターはあるが、オプションとして案内しており、健診センターが協力して一般の健診項目に組み込むのは初めて。同研究所によると保健所での受検者や郵送式の検査キット利用者は増加傾向にある一方で、新規エイズ発生件数は横ばいで推移し2016年は415件発生するなど高止まりしているという。
要因として、同研究所の川畑拓也主幹研究員は検査機会を逸している勤労世代で潜在的に感染者が広がっていると分析。「エイズについていまだに治療できず、死に至る病と認識し、検査を恐れ避けていることもあるのだろう。しかしHIVは治療薬でウイルスを抑え込むことができ、発症を防げる。他者にもうつらないようすることは可能。HIVも梅毒も早期発見し、早期治療に導くことが大事だ」と説明し、検査の重要性を強調した。
全国の健診センターのHIV検査状況を調査した結果、利用者は少数だが「ニーズは高い」と推察。検査結果を当事者にだけ伝えることを丁寧に説明するなど、検査の提供方法で受検者数は増えるとみている。
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