改憲勢力3分の2割れ 沖縄にとっての意味は?


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高良 沙哉氏(沖縄大教授)

 21日に投開票された参院選で憲法改定に前向きな「改憲勢力」が3分の2議席を割った。沖縄にとっての意味や今後の展開について憲法学に詳しい沖縄大の高良沙哉教授に聞いた。

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 選挙ではさまざまな理由で1票を投じるので有権者が改憲に絞って投票先を選んだとは限らない。ただ、自民党が公約に改憲を掲げた上で、3分の2議席を割ったというのは重要な点だ。護憲の立場からは大きな成果だと言える。

 もし憲法改正案が衆議院を通過したとしても、参議院ではきちんと議論して立ち止まることができる。改憲に賛成の人たちにとっても慎重に議論するという意味で歯止めの意味を持つ。

 一方で護憲派も今回の結果で安心し切ってしまうのは危ない。安倍政権の改憲に対する執着は恐ろしいほど強く、改憲勢力に寝返る議員が出てくる可能性もある。現在の憲法を守ろうとする国民は、改憲勢力の動向や改憲の素案などに対する批判的な検討を弱めてはいけない。憲法を理解する国民を増やしていく取り組みも重要だ。

 名護市辺野古の新基地建設など基地問題を抱える沖縄にとって、安倍政権の掲げる改憲は軍事力の強化という点で基地負担の増加につながるマイナスなものだ。今回の参院選はそれを食い止められる可能性を含む結果となった。この機会に現在の憲法が沖縄に十分適用されていない状況を見直し、沖縄で憲法の適用を実現していく取り組みも大事だ。

 今回の選挙も新基地を造らせないという沖縄の強い意思が表れた。何度でも意思を示す意味はある。日本全体に強いメッセージとして伝わり、工事を強行する政府に批判的な目が向けられるきっかけにもなる。(ジェンダー・憲法学)

※注:高良沙哉教授の「高」は旧字体