虐待防止策を委員が沖縄県に提起 万国津梁会議初会合 年度内に条例制定へ


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万国津梁会議で児童虐待を防ぐための課題や必要な取り組みなどについて意見を出し合う委員ら=25日、那覇市牧志のハイアットリージェンシー那覇

 玉城デニー知事が有識者の意見を聞く「万国津梁会議」で、児童虐待に関する第1回会合が25日、沖縄県那覇市内のホテルで開かれた。大学教授や弁護士ら6人が委員に任命され、児童虐待の予防策や早期対応の在り方、市町村など関係機関との連携、体罰を論点に課題や意見を出し合い、必要な取り組みを話し合った。県は会議の提言を踏まえ、児童虐待防止に関する条例の年度内制定を目指す。

 委員は兵庫教育大の海野千畝子教授、日本心理研修センターの村瀬嘉代子理事長、琉球大教育学研究科の上間陽子教授、沖縄国際大総合文化学部の比嘉昌哉教授と野村れいか講師、美ら島法律事務所の横江崇弁護士の6人で、比嘉教授が委員長に選出された。

 委員らは虐待事案の早期発見を図る仕組みづくり、児童相談所の増員や専門性の強化、各市町村での支援拠点やシェルターの確保など予防を図る上での課題を列挙した。それぞれ「子どものオンブズマン制度やスクールロイヤー(学校で法律相談に乗る弁護士)など子どもの権利が保障され、SOSをくみ取る制度が必要」「具体的に数値目標を掲げないと実現性がない」「一時保護所の対応を見直す必要がある」などと意見を出し合った。

 玉城知事は冒頭あいさつで児童虐待の背景に子どもの貧困率の高さや家庭内暴力の多さなどがあるとの指摘を挙げ、「現状を踏まえた課題や対応策について積極的に議論してほしい。会議からの提案を県の施策や取り組みに速やかに反映させ、児童虐待防止に向けて関係機関と連携し切れ目のない支援に取り組みたい」と述べた。

 会議は9月に第2回を開き閉会する。県は委員から最終的に提起された意見を取りまとめ、県の施策に反映させるとしている。

 今回は人材育成・教育・福祉・女性の分野についての「万国津梁会議」で、人権・平和をテーマにした会議に続いて開かれた。