プラスチック海洋中分解技術開発の第一人者の男性はどんな人?


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R3HBの重合体「PHB」の結晶を掲げるグリーンテクノプラスの常盤豊社長=12日、うるま市州崎

 海洋中で分解する「海洋生分解性プラスチック」の原料となる「(R)3―ヒドロキシ酪酸(R3HB)」の生産技術の実用化に向け、県と共同研究するバイオベンチャー企業のグリーンテクノプラス(うるま市)。社長の常盤豊氏は国立研究開発法人の産業技術総合研究所(産総研)を経て、県工業技術センターで生産技術の研究開発を導いてきた第一人者だ。常盤社長は「沖縄の地で沖縄の資源を使った海洋生分解性プラスチックの実用化を実現したい」と語る。

 常盤社長によると、遺伝子組み換え技術などを使って海洋生分解性プラスチックを製造する技術はほかにもあるが、砂糖と糖蜜、ハロモナス菌など天然資源のみを活用した生産技術は県工業技術センター独自のものだという。

 県工業技術センターの世嘉良宏斗主任研究員は「遺伝子組み換えによって製造された製品が本当に消費者に受け入れられるかは分からない。天然の菌で作ることがわれわれの強みだ」と研究の意義を語る。

 常盤社長は45年以上、環境問題の観点から生分解性プラスチックの研究開発に従事してきた。産総研を定年退職後の09年に沖縄に移住し、プラスチックごみの海洋汚染対策として期待される海洋生分解性プラスチックの技術構築に県工業技術センターで取り組んできた。今年3月にグリーンテクノプラスを設立し、技術の実用化を加速させる。

 R3HBを実際の製品に活用する際は、高分子化した「PHB」を既存のプラスチックに組み込む。今後、R3HBの生産コストを落とすほか、プラスチック製品の種類や用途に応じて海洋で分解される最適な配合を突き止められれば、実用化は大きく前進する。

 PHBは生分解性プラスチックのほか医療用剤や機能性食品などへの応用も可能とされている。常盤社長は「コストの壁はあるが、理論的にはあらゆるプラスチック製品に海洋生分解の機能を持たせられる」と説明した。

 (外間愛也)