経路分離で発着24万回に拡大 那覇空港の第2滑走路 現滑走路と独立運航


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 那覇空港拡張整備促進連盟(石嶺伝一郎会長)の総会が30日、沖縄県那覇市の沖縄ハーバービューホテルで開かれ、沖縄総合事務局は那覇空港の第2滑走路供用開始後の発着回数が年間24万回まで拡大する運航方法を報告した。新たな運航方法は、着陸をやり直す際に通る「進入復行経路」を大きく西側に変更し、離陸する航空機の「出発経路」から離すルートを設定した。現行の滑走路と第2滑走路の飛行経路を分離することで、現行の滑走路と第2滑走路で独立した運航が可能となった。

 2本の滑走路の独立運用により、離着陸の間隔を短縮して発着回数を24万回まで拡大できると試算。これまでの想定だった18万5千回より増やすことができたという。

 総会後は、2020年3月の供用開始に向けて大詰めを迎える沖合滑走路建設工事の現場を視察した。埋め立てがほぼ完了し、現在は舗装工事を進めていることなどの説明があった。石嶺会長は「発着回数が増えることで沖縄を訪れる観光客の増加にもつながり、県経済に与える効果も大きくなる。那覇空港の機能を強化して利便性や快適性を高めたい」と話した。

 那覇空港は、現在の滑走路1本で安定的に運用できる発着回数を13万5千回としている。18年度の発着回数(速報値)はこれを大きく上回る16万4千回で、過密状態の運航による遅延などが課題となっている。

 国土交通省大阪航空局は第2滑走路の運航について、当初は「出発経路」と「進入復行経路」が同方向のルートを設定していた。この場合は航空機が接近しないように離着陸のタイミングを調整する必要が生じ、沖合の滑走路が完成しても2本の滑走路の発着回数は18万5千回にとどまると試算していた。

 現行の発着回数が既に16万回を超えており、県経済界などは滑走路が2本になっても早期に過密化すると問題視してきた。これを受け3月に来県した菅義偉官房長官は「飛行経路を見直すことで24万回まで引き上げる」と表明していた。

 大阪航空局によると新たなルート設定でも、第2滑走路に着陸した航空機が旅客ターミナルへの移動で現行の滑走路を横切る必要があることから、13万5千回から単純に倍増はしない。また、第2滑走路は沖合に建設するため、完成後に騒音の影響が陸側に広がることはないとした。