遺骨を故郷に帰したい 沖縄・本部町に埋葬された旧日本軍乗組員 帰す会が遺族の情報提供求める


この記事を書いた人 問山栄恵
本部町健堅で埋葬された遺骨の収容に向け、記者会見で遺族の情報提供を呼び掛ける具志堅隆松さん(右から2人目)ら=1日、県政記者クラブ

  戦時中に沖縄県本部町健堅で朝鮮人2人を含む14人の遺骨が埋葬されていた件で、先月新たに発足した「本部町健堅の遺骨を故郷に帰す会」が1日、那覇市の県政記者クラブで会見を開き、遺族と連絡が取れていない10人の情報提供を広く求めた。
  
  本部町健堅の遺骨については、1945年5月28日号の米誌「ライフ」に瀬底島を背景に14本の墓標が立つ写真が掲載されるなど、その存在が明らかになっていた。墓標の14人のうち、12人は45年1月22日に本部町沿岸で攻撃を受けて撃沈した「彦山丸」の乗組員だった。7月27日に発足した帰す会は遺骨を遺族の元に返すため、来年2月にも日韓の若者らと共同で遺骨収集を実施する。
  
  遺族が判明しているのは日本人の横田茂さん、森重宜久さんのほか、朝鮮人の金山萬斗(金萬斗)さん、明村長模(明長模)さんの計4人。残り日本人10人の遺族とは連絡が取れていない。
  
  連絡が取れていない10人のうち2人は帰す会が所有する「戦没船員名簿」にも記載がなく、手がかりが薄いという。会の共同代表で沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は「若い人々が自分たちの加害と被害の歴史を直視して乗り越え、二度と戦争に加担する歴史をつくらないための共同作業を成功させたい」と語り、情報提供を呼び掛けた。【琉球新報電子版】
  
  帰す会が情報提供を求めているのは次の通り。(敬称略)
【旧陸軍軍属】川部友吉▽高木藤次郎▽峯松良一▽半田充祇▽丸山利治▽東郷富秀▽井上満五郎▽倉知義行▽植木基雄
【旧海軍上等水兵】中村進

1945年5月28日号の米誌「ライフ」に掲載された本部町健堅に設置された墓標の写真(複写)