虐待相談の対応が最多1100件 沖縄県内児童相談所 関心高まりも背景に


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭

 沖縄県内の児童相談所(児相)が2018年度に受け付けた児童虐待相談対応件数は前年度比59・2%増の1100件で初めて千件を超え、過去最多となった。県青少年・子ども家庭課によると、心理的虐待が前年度の364件から734件に倍増した。04年の児童虐待防止法改正で、子どもの前で家族に暴力を振るうといった「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」が心理的虐待に位置付けられ、警察からの通告が増えたことが背景にある。悲惨な虐待事件が相次ぎ関心が高まったことで一般からの通報も増えたとみられる。複数の専門家が「これが実態」と指摘しており、今回の結果はこれまで以上に対策の強化を図る必要性を突き付けた格好だ。

 虐待種別相談の内訳は、心理的虐待が最も多く全体の66・7%を占めた。前年度は52・7%だった。直接暴力を振るう身体的虐待は前年度比23件増の197件、養育を放棄するネグレクトが同12件増の158件、わいせつな行為をする性的虐待が同4件増の11件で、心理的虐待以外もそれぞれ増加した。

 沖縄県警によると、保護者から虐待を受けた疑いがあるとして県警が18年に児相へ通告した18歳未満の子どもは17年比47・9%増の756人で、うち「面前DV」が435人と大半を占めていた。暦年と年度の違いはあるが、県警への相談・通報が児相の対応件数につながっている。

 この結果について県警少年課は「虐待と特定した事案だけでなく、疑いがある事案まで範囲を広げ通告を徹底した」などとコメントしていた。

 県青少年・子ども家庭課は「県警のこのような取り組みが増加の背景にある。面前DVは各世帯にいる子どもの分だけ対応件数となる。DV事案の認知が増えていることも要因としてあるのだろう」と分析した。