ラオスで口唇口蓋裂の患者を救った沖縄の男性がいた 琉大名誉教授で医師の砂川元さんに外務大臣表彰


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ラオスでの活動を笑顔で語る砂川元院長=7月30日、那覇市大道の砂川口腔ケアクリニック

 ラオスのセタティラート病院を拠点として現地の口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)の患者への医療援助に尽力したとして、琉球大学名誉教授で砂川口腔(こうくう)ケアクリニック院長の砂川元さん(71)がこのほど、外務大臣表彰を受賞した。砂川さんは「受賞するとは夢にも思っていなかった。手術が好きでラオスが好きだったからこそ続けることができた。一人の力ではなく、周りのおかげだ」と笑顔で語った。

 海外で口唇口蓋裂の医療支援を実施している日本口唇口蓋裂協会の夏目長門さん(愛知学院大学教授)から誘いがあり、1999年と2000年にベトナムでの活動に参加した。

 それがきっかけとなり01年からラオスで口唇口蓋裂の無償手術活動を始めた。看護師や麻酔科医師などと共に現地を訪問し、これまで347人の口唇口蓋裂手術を実施している。

ラオスで口唇口蓋裂の手術を実施する砂川元さん(提供)

 ラオスは経済的に貧しく手術費を払うことができない家庭が多い。また口唇口蓋裂の手術ができる医師がいなかったことから、長年手術を受けることができない患者が多くいた。病院にはラオス全土から、生後3カ月から60代まで幅広い年代の患者が来院した。

 砂川さんは「治療ができず学校に通えない子がいた。ある男性は手術後に『これで結婚できます』と笑顔で退院した。喜んでくれた」と活動を振り返った。

 現地の医療従事者の育成にも積極的に取り組んだ。手術を担うラオス人医師の育成も進んでいる。現地の学校へ出向き、歯みがき指導や歯科検診などを実施した。ラオス全体の医療面・衛生面の向上に貢献してきた。今後については「健康である以上、活動を続ける。飛行機に乗ることができて、手が動く限りはラオスに行く」と決意に満ちた表情で語った。
 (上里あやめ)