琉球古典芸能 米から合格 安冨祖流三線


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安冨祖流三線の最高部門に合格した仲松ライアン彌守秋さん(右端)、弟子で優秀部門に合格した山内優子さん(左から2人目)、合格を喜ぶ照喜名朝一さん(同3人目)と村田グラント定彌さん=3日、那覇市の照喜名さんの自宅

 米カリフォルニア州ロサンゼルス市在住の県系4世で琉球古典安冨祖流音楽研究朝一会ロサンゼルス支部の仲松ライアン彌守秋(やすあき)さん(35)と弟子の山内優子さん(48)がこのほど第54回琉球古典芸能コンクール(琉球新報社主催)の安冨祖流三線でそれぞれ最高部門と優秀部門に合格した。3日、仲松さんの師匠である村田グラント定彌(さだみ)さん(57)と共に、同会総帥で人間国宝の照喜名朝一さん(87)の那覇市にある自宅を訪れて報告した。照喜名さんはうれしそうに2人の合格をねぎらった。

 仲松さんはハワイ州ホノルル市出身。1998年に琉球古典安冨祖流音楽研究朝一会ハワイ支部に入門し、技芸を磨きながら新人、優秀と合格を積み上げた。2010年には教師免許を取得し、ロサンゼルスで後進の指導に当たっている。山内さんは那覇市生まれのロサンゼルス育ち。2000年に県費留学生として沖縄を訪れ、照喜名さんの教室で習い、帰国後も安冨祖流の三線を学んだ。

 2人は4月にニューヨークのカーネギーホールであった照喜名さんの米寿を祝う公演に触発され、今回10年以上ぶりにコンクールを受けた。山内さんは「前回受験した時は合格できなかったので本当にうれしかった」と喜びをかみしめた。仲松さんは「門下生が受けるからには自分も最高部門を目指そうと思った。多くの人に支えられ合格できたと思う。合格をばねにして次のステップに挑みたい」と意気込んだ。

 照喜名さんは仲松さんに「鉄は熱いうちに打てという言葉がある。近いうちに独演会を開いてほしい」と注文した。仲松さんは照れながら「頑張ります」と応えた。現在ロサンゼルス支部には30人が在籍している。仲松さんは「来年挑戦したいという人もいるので、積極的にコンクールに参加させたい」と語った。

 (金城実倫)