岸本、走り高5位 去年の自分飛び越え、土壇場で成功《南部九州総体2019》


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女子走り高跳び決勝 1メートル70を跳んで5位入賞を果たした岸本志恵(中部商)=4日、タピック県総ひやごんスタジアム

 全国高校総合体育大会「感動は無限大 南部九州総体 2019」は4日、各地で行われ、沖縄市で競技が始まった陸上の女子走り高跳びで岸本志恵(中部商)が1メートル70で5位入賞を果たした。

 1年前の全国総体で悔しい思いをした女子走り高跳びの岸本志恵(中部商)が、地元で1メートル70を跳んで5位入賞を果たした。最初から最後まで何度も笑顔でバーに向かう。まるで沖縄の空をつかみに行くような跳躍だった。「すごく楽しかった。悔しさよりも大好きな場所で大好きな人たちに応援されて、大好きなハイジャンができた」と笑顔で振り返った。

 「緊張でがちがちだった」予選だが、1メートル64の試技では大城正治監督が「1メートル75は跳んでたんじゃないか」という大ジャンプもあった。しかし予選通過が懸かる1メートル67では2度の失敗。昨年と同じ状況になるものの「冷静に楽しめた」と土壇場で成功させた。

 決勝では内傾姿勢がよく、イメージ通りに助走ができ、全体的に好感触の試技ができた。双子の姉・優美が決勝前に右腕に書いてくれたメッセージに何度も視線を落とし、試技前には大勢の声援に背中を押してもらった。自己ベストタイとなる1メートル73は「リード足がキープできなかった」とミス。その後は悔し涙はなく、先を行くライバルから学び取ろうと視線をまっすぐ向け続けた。

 南九州大会後にオーバーワークで股関節を痛め、練習できるのは週に1度程度。それでも質を高めた練習で調子は上がり、中学時代に陸上で競った西原の具志堅夏琳がバスケットボールで8強入りしたことも刺激となって迎えた本番だった。

 笑顔だった岸本だが、表彰式後に大城監督の顔を見ると涙が止まらなかった。スランプで記録が伸びなかった1年次。2年に上がってからは1メートル73を跳んで全国の頂きを狙える位置につけたが、記録を追求するあまり、苦しみ続けた。最終学年の重圧があった中でもいつもそばで支え「必ず全国の表彰台に立たせる」と入学当初に約束してくれた恩師へ「とにかく感謝しかない」と何度も口にした。

 大学進学後も競技を続ける岸本の目標は県記録(1メートル80)の更新だ。ことしの国体では一般の選手と戦える位置も目指す。「まずは自己ベストの更新をし、楽しみつつも勝つことも追求したい」と志を新たにする。家族や仲間の祝福を受けた岸本は「めっちゃ楽しかったですよ」と地元で戦えた喜びに、最後は笑顔が絶えなかった。

 (屋嘉部長将)