【記者解説】県立高校入試に「特色選抜」で県が重視する教育とは…


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 2023年3月から実施予定の新県立高校入試制度はキャリア教育の観点を重視している。推薦入試に代わって新たに導入される「特色選抜制度」は、専門学科・コースほど定員枠を多く設定でき、早い段階で将来設計を立てられた生徒ほど有利と言える。一方で普通科を目指す生徒にとっては受験機会が減る可能性も考えられるため、慎重な対応が求められる。

 制度改革に当たり、県教育委員会は外部有識者の意見を取り入れた。小中学校校長会やPTA連合会などで構成する「県立高校入学者選抜制度検討委員会」は「キャリア教育の視点に立った入試制度の改善」などを提言しており、改革はその提言に沿った内容だ。

 中学校の現場ではこれまで以上にキャリア教育が重要になり、高校側も「求める生徒像」を具体的に示し、ミスマッチを防ぐ対策が求められる。特色選抜は推薦入試と違って学力検査も課されるため、キャリア教育と学力向上の取り組みが同時に求められることになる。全国的な普通科改革の流れもあり、学校現場や受験生への影響は未知数だ。制度の周知もこれからで、今後の議論が欠かせない。
 (稲福政俊、下地陽南乃)