沖縄で、東京五輪金メダルが間近に 64年、体操の故遠藤さんが獲得 60年代から県内で指導


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 県立博物館・美術館(那覇市)で開催中の展覧会「オキスポ・オリパラ展―輝きつないだ聖火リレー」に、1964年東京五輪で遠藤幸雄さん(故人)が獲得した体操・男子個人総合の金メダルが展示されている。遠藤さんは日本復帰前から何度も沖縄を訪れ、体操競技を指導した縁がある。県体操協会の知念義雄会長(77)は「(彼の)指導のおかげで、沖縄の体操は五輪選手が出るくらい強くなれた」と話し、遠藤さんが県内体操界に残したものの大きさを強調する。

日の丸ジャージを着たメダリストの遠藤幸雄さん(中央)を迎え、指導を受けた興南高校体操クラブの選手ら。左から2人目は知念義雄監督=1966年1月17日、興南高校グラウンド(知念さん提供)

 日本のお家芸として期待を集めた「体操ニッポン」で、遠藤さんはエースとして活躍した。64年東京大会は個人総合のほか、団体と種目別平行棒で計3個の金メダルを獲得した。

 沖縄が日本復帰する前の60年代から、遠藤さんは毎年のように沖縄を訪れ、体操を指導。興南高校の監督だった知念会長は「目の前で五輪のユニホームを着た選手を見るのは生徒も皆初めてだった」と当時を懐かしむ。体育館がなかったため、テニスコートに鉄棒を立てて指導を受けた。

 その後、92年バルセロナ五輪で体操の知念孝、松永政行の両選手(共に興南高出身)が沖縄初の五輪メダリストになった。遠藤さんの影響について、知念会長は「五輪王者の話は誰が言うよりも効き目があった。選手たちは大いに刺激になるし、力がついたと思う」と語る。

県立博物館・美術館に展示されている1964年東京五輪で遠藤幸雄さんが獲得した体操男子総合の金メダル

 9月29日まで開催される「オキスポ・オリパラ展」では64年東京五輪や県内を巡った聖火リレー、73年の若夏国体の資料など約100点が展示されている。

 外間一先(かずゆき)主任学芸員は「県民一丸で取り組んだスポーツの祭典は、戦後の復興と重なるようにも感じる。本物のメダルをじかに見て、2020年の五輪にもわくわくしてほしい」と話した。

 同展覧会は入館料が必要。県内の小学生以下と70歳以上は無料。開館時間は午前9時~午後6時(金・土曜は8時まで)。毎週月曜は休館日(祝日の場合は火曜休館)。問い合わせは同館(電話)098(941)8200。

 (大橋弘基)