沖尚最後するり 巧者激突 強豪粘り「脱帽」


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習志野-沖縄尚学 4回裏1死、右方向へ安打を放ち、積極走塁で二塁を陥れた沖尚の3番・水谷留佳=9日、兵庫県の阪神甲子園球場(田中芳撮影)

 第101回全国高校野球選手権大会第4日は9日、1回戦4試合を行い、第3試合に登場した県代表の沖縄尚学は春の選抜準優勝の習志野(千葉)に4―5で競り負けた。

 相手が好走塁を見せれば、水谷留佳主将が単打で二塁を陥れ、スクイズで追加点を取られれば、奥原海斗がスクイズで勝ち越し点を奪う。

 粘りの野球で選抜準優勝を果たした強豪相手に、鏡に映したようなしぶとい攻撃を仕掛け、九回までリードした。新チームのスタート時、試合で自滅することがあり、比嘉公也監督から「史上最弱以下のチーム」と酷評されたこともある。金星は最終盤にするりとこぼれ、水谷は「甘さを改善できず悔しい」とこぼしたが「秋や春とは比べものにならないくらい成長した」と涙はなかった。

 がっぷり四つの展開だったが、力の差は終盤で表れた。六回途中で継投した習志野の飯塚脩人は八、九回を6者連続三振。1点を追う九回には一走が意表を突いて盗塁し、同点につなげた。比嘉監督は「あの場面で盗塁すると思わなかった。あれが全国との差」と勝負強さに脱帽した。

 ただ沖尚も、県大会決勝で延長十三回の末に興南を下した粘り強さは発揮した。初回から苦しんだ相手先発の山内翔太には打線2巡目からしっかりとミートして逆転し、追い付かれてもスクイズで引き離した。

 四回、積極的な走塁で右前を二塁打にして逆転の口火を切った水谷は、高校野球生活を振り返り「苦しいことが多かったけど、最後の最後で甲子園に来られてよかった」とにっこり。酷評された監督を見返せたか、との問いには「はい」と大きな声で一言。隣りで取材を受ける監督を横目に、胸を張った。 (長嶺真輝)