沖縄初、黒糖専用の新種キビ開発 県農業研究センター 干ばつや台風への適応性高く


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農林15号で製造された黒糖(左)とRK03―3010で製造された黒糖(右)(県農業研究センター提供)

 沖縄県内初の黒糖専用品種として開発されたサトウキビの新品種「RK03―3010」が、13日付で県の奨励品種に採用された。干ばつや台風被害を受けやすい波照間島など離島の黒糖生産地域での生育適応性が高く、黒糖にした際の品質や保存性に優れている。

 従来、サトウキビは生産量を上げることを重視した品種改良が取り組まれてきたため、黒糖の品質向上に着目した品種はなかった。

 RK03―3010は茎の初期伸長性に優れ、風への抵抗性が高いため台風被害を受けにくいなど、農家にとって栽培しやすい品種になっている。新品種から製造した黒糖は、カビの発生に関連する食品中の水分活性の数値が低く、保存性に優れている。農林15号などの既存品種に比べて黒糖の外観に赤みや黄みが出にくく、見た目も安定し、品質の良い黒糖になる。

農林15号(右)に比べて背丈が高く緑色が濃いRK03─3010(左)=2018年9月、糸満市(県農業研究センター提供)

 「農林15号」を9割栽培していた波照間製糖工場から黒糖に適した品種を要望する声もあったことから、県農業研究センターが波照間島に適した品種改良を行った。今後は島の収穫面積の約10%(20ヘクタール)の普及を見込んでいる。

 長嶺豊県農林水産部長は「黒糖は小さな離島地域を支える重要な品目だ。新品種を普及することにより、波照間島で黒糖の品質および生産の安定化、ブランド化につながることを期待している」と話した。