商業用の撮影でビーチなどを無許可に使用する「ゲリラ撮影」に悩まされてきた恩納村観光協会(宮崎るみ子会長)は、恩納村内の海岸を商業目的で使用する際の使用許可申請を代行するサービスを2017年10月から始め、開始から1年半で約680件の申請利用の実績を上げている。外国人観光客らのフォトウエディングが円滑に実施されるようになるとともに、地域で新たな財源を生み出すことにも成功している。
恩納村は2002年に県内初の「恩納村海岸管理条例」を制定して海岸管理が村に移り、村内の15自治会が区域ごと海岸を管理している。商業目的の撮影などで海岸を使う際にはそれぞれの自治会を通じて許可を得る必要を条例で定めているが、条例を知らない海外の撮影業者らがいるとみられるなど無許可の撮影が多発してきた。
村観光協会は条例に基づいて「恩納村ロケーション撮影に関する運用要項」を定め、フォトウエディング業者などに代わって許可申請を行うサービスを17年10月に始めた。申請1件あたり3千円を徴収し、そのうち千円は自治会に納付する仕組みだ。
許可申請は、自治会から承諾書をもらって必要事項を記入し、村役場に提出するなど手間がかかる。地元の観光協会が申請代行をすることで、撮影業者や自治会の手間が削減される。
撮影で海岸を使用する時間帯の調整も観光協会で行う。
代行サービスの周知のため沖縄リゾートウエディング協会の会員向けに、恩納村内のフォトスポットを案内するツアーも実施してきた。これまでに申請業務を代行した約680件のうち9割がフォトウエディングで、ほかにCM撮影などが行われている。
同協会の名城一幸氏は「今まで落ちていないお金が落ちるようになった。地域の活性化につなげたい。今年の利用は千件を超えるだろう」と話した。