沖縄県内インフラ整備 40事業遅れ ハード交付金、7年で3割減  計画から8年遅れも


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭
公共事業関係費等の推移

 沖縄振興一括交付金が本年度の2019年度まで3年連続で減額されているため、県内のインフラ整備など40事業以上で大幅な遅れが生じていることが16日までに分かった。中には当初計画から8年遅れる見込みの事業もある。本年度の沖縄振興公共投資交付金(ハード交付金)は532億円で、12年度予算比で31%減だった。県は2020年度のハード交付金について19年度の約2倍に当たる1013億円を確保するよう政府に要請したが、実現の可否によっては事業がさらに遅れる可能性もある。

 事業進捗(しんちょく)に遅れが生じているのは社会資本整備、農山漁村地域整備、学校施設環境改善、水道施設整備の4分野。本島北部地区の土石流発生や渓流崩壊を防ぐための総合流域防災事業(砂防)の完成予定は当初17年だったが8年遅れる見通し。災害後の水道供給可能人口は2018年時点で15・1万人を達成する予定だったものの、同年時点で4・9万人と3分の1程度にとどまっている。

 県内では、国直轄のインフラ整備予算は伸びており事業が進む一方、ハード交付金減額の影響を受けた県や市町村の事業は遅れが生じている。県は「国の直轄事業・投資補助金と、ハード交付金はそれぞれ役割がある。それらを合わせた一体的な整備が必要だ」と話している。

 県は市町村からの要望を受け、20年度のハード交付金について19年度比約2倍の1013億円を要請した。だが、19年度予算の要請でもハード交付金900億円台を要求したが、532億円にとどまった。20年度沖縄関係予算の編成は県内各市町村からの要望をどこまで反映できるかが焦点となっている。(当間詩朗)