小野伸二初陣で空気一変 好機演出する柔らかく正確なパス 琉球の課題は…


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FC琉球―横浜FC 後半、ライン際でボールを受け攻めるFC琉球の小野伸二=17日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム(大城直也撮影)

 サッカー明治安田J2の第28節、FC琉球は17日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで横浜FCと対戦し、1―3で敗退した。6試合ぶりに勝利した前節からの連勝はならなかった。通算成績は8勝7分け13敗で、勝ち点は31のまま。順位は15位から16位に下がった。

 日本サッカー界の“至宝”が、30分間の出場でスタジアムの空気を一変させた。前半で3失点という重い空気の中、後半途中に1万2千人の大観衆に迎えられ、沖縄のピッチに立った小野伸二。好機を演出する柔らかく正確な縦パス、前線のフリーを演出する「ため」をつくるキープ力。短い出番ながら「ファンからたくさんのパワーをもらい、30分弱だけど楽しませてもらった」と好感触を得た様子だった。

 出番が訪れたのは2点を追う後半20分。同じく新加入のハモンも立て続けにピッチに入った。すると流れが一変。横浜の固い守備に持ち味のパスサッカーを封じられていたが、ボランチの位置に入った小野が「つなぎの部分を大事にしたかった」とシンプルな縦パスやくさびとなる絶妙なヒールパスで守りを分断した。ハモンも前線で積極的に裏を狙い、琉球の攻撃に流動性を生んだ。最後まで得点にはつながらなかったが、何度も相手ゴールに迫った。

 小野を「ダイレクトでつなぐとこ、ためるとこの使い分けが別格」と評する上里一将主将。指揮官も「ボールを付ける起点が増えた」と攻撃パターンの広がりに手応えを語る。

 「あと少しの寄せ、ゴールに対する貪欲さがもう少し」と琉球の課題を見詰める小野は、今後に向け「シーズンが終わる頃には変わった琉球をつくれると思う。勝つために尽くしたい」と意気込む。得点源の鈴木孝司が抜け、変革期を迎えている琉球に今度どうフィットし、勝利という結果につなげていくか、注目される。
 (長嶺真輝)


(2)タピスタ(横浜FC2勝)
琉球 8勝7分け13敗(31)
1―3(1―3,0―0)
横浜FC 14勝6分け8敗(48)

▽得点者 【琉】 上門(7)【横】 斎藤(1)松尾(2)中山(2)
▽観客 12019人