ブラックバイトに負けない 大学生、未払いのバイト料取り戻す 「泣き寝入りしないで」労組が支援


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総合サポートユニオン発行の賃金未払いに関するチラシ

 沖縄県内の大学生が今月、2カ月以上未払いだったアルバイト料7万7600円を取り返した。何度請求してもらちが明かなかったが、労働組合の働き掛けによって、支払わせることに成功した。組合の関係者は「団結することで権利を実現できる」と活動の広がりを期待し、この事例を報告し、相談を受け付ける会を23日に那覇市内で開く。

 学生は那覇市内の飲食店のオープニングスタッフとして4月末から約1カ月間働いた。情報誌に「時給1100円、交通費1日500円」とあり「他にはない好条件」と飛び付いたという。しかし県外に住むオーナーはほとんど店に来ず、店舗は数人のバイトに任された。雇用契約書もタイムカードもなく、連絡は会員制交流サイト(SNS)か口頭で。仕入れから調理、販売、レジの管理、戸締まりまで行ったという。

 学業との兼ね合いで学生は5月下旬に退職し、月末の給料日を待ったが振り込みはなかった。6月は学費の納入期限だったため、何度も連絡したがオーナーは電話に出ず、SNSやメールにも返信しなかった。

 「人目につくようにした方がいい」と助言を受けて7月、店に支払いを求める張り紙を出すと、オーナーから「クソ田舎モンが調子にのるな」「知り合いの弁護士を立てる」など返信があった。

 関係機関や、弁護士の無料相談にも行ったが事態は動かなかった。

 学生は「金額が小さく、学生だからなめられていると思う。働いた分を払ってほしいだけなのに」と途方に暮れる中、若者の労働問題に取り組むNPO法人POSSEに出合い、POSSEが立ち上げを支援した組合、ブラックバイトユニオン(総合サポートユニオン・ブラックバイト支部)に加入した。

 労働組合法は、労働者の代表となる労働組合が申し入れたとき、雇用者は交渉に応じることを定めている。ユニオンがオーナーにその旨を伝えながら支払いを求める中、8月上旬に賃金が振り込まれた。

 POSSE事務局の今岡直之さんは「ブラックバイトはサービス産業に多く、県外企業が沖縄に進出して学生をブラックに働かせる例が少なくない」と指摘。同様の事例で泣き寝入りしている学生など広く相談を呼び掛けている。

 報告会は23日、那覇市のてんぶす那覇で午後6時20分から。問い合わせは今岡さん(電話)090(7772)4058。
 (黒田華)