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辺野古県民投票から半年 続く国の工事強行 沖縄県は2訴訟を提訴

県民投票で投票者の7割が新基地建設反対の意思を示したにもかかわらず進められる埋め立て工事=23日午前11時30分ごろ、名護市辺野古沿岸部(小型無人機で撮影)

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の埋め立ての賛否を問う県民投票が2月24日に実施されてから今月24日で半年が経過した。投票総数60万5385票のうち7割を超える43万4273票が「反対」で、圧倒的多数の民意が示されたにもかかわらず、政府は結果を無視して埋め立て工事を続けている。17日に那覇市で開かれた「県民投票とその後~私たちは何をすべきか、何を求めるべきか」(「新しい提案」実行委員会主催)の登壇者による発言内容を紹介するとともに、県民投票の結果の行方などを検証した。

 昨年8月に埋め立て承認を撤回した県は、撤回を取り消した国の決定が違法だとして今月7日に抗告訴訟を提起した。県は軟弱地盤や活断層の問題などの主張を盛り込み、実質審議を求めているほか、県民投票で示された埋め立て反対の民意を尊重するよう訴えており、司法の場で県民投票がどう評価されるかも注目される。

 辺野古の全体の埋め立て予定面積は約160ヘクタールで、県は5月末時点までの全体の進捗(しんちょく)について約2・8%と試算している。沖縄防衛局が昨年12月に土砂投入を開始した区域(約6・3ヘクタール)の埋め立ての進捗状況は7月末時点で約7割で、今年3月に着手したその隣接区域(約33ヘクタール)は1割以下にとどまる。

 埋め立て区域東側には軟弱地盤が広がっており、工事着手のめどはたっていない。沖縄防衛局が地盤改良に伴う計画変更を申請し、県から承認を得る必要があり、長期化が見込まれている。

 玉城デニー知事は22日の定例記者会見で「普天間飛行場の一日も早い危険除去や県民投票の結果を踏まえた辺野古移設の断念など、沖縄の過重な基地負担軽減に向けた機運を高めるために全国キャラバンを行っている」と述べ、法廷闘争と並行して世論に辺野古移設阻止を訴えていく考えを示した。

2訴訟で工事停止狙う

 県民投票で7割が名護市辺野古の埋め立て反対という結果が出た後も国は新基地建設を続け、県は工事を止めるために二つの訴訟を起こした。うち一つの訴訟で、埋め立て承認撤回の正しさを主張する根拠の補足として、2月に実施した県民投票の結果を挙げている。

 今後、裁判が展開する中で県がさらに踏み込んで県民投票の結果を活用するか、司法がそれをどう判断するかが注目される。

 県が7月に提起した「関与取り消し訴訟」では、県による埋め立て承認撤回を国が私人救済のための制度を使って取り消したことの是非のみが焦点で、県民投票の結果は影響しない。

 一方、8月に起こした「抗告訴訟」で県は県民投票の結果を活用したい考えだ。国は承認撤回によって一度与えられた権利・利益を侵害されたと主張するとみられる。

 これに対し県は、県民投票で埋め立て反対が7割を超えたことから「承認撤回で(工事を止めることから)防衛局が受ける不利益よりも、県民が受ける利益の方が大きい」と訴える。

 県の弁護団に参加している加藤裕弁護士は市民向けシンポジウムで、それぞれの訴訟で審議が中身に入るまでに「ハードルがある」と明かした。門前払いされる恐れがあり、国はそれを狙って反論してくるとみられるためだ。

 それでも、加藤弁護士は法廷闘争に挑む意義を強調した。関与取り消し訴訟は数カ月で判決が確定するとみられ、工事を早期に止めることを狙う。もう一方の抗告訴訟は1年以上、裁判が展開される見通しだが「裁判が続く中、訴えの中で(県側の)論点を提示し議論の土台に載せていくという意味で重要だ」と述べた。9月18日には関与取り消し訴訟の第1回口頭弁論が開かれ、玉城デニー知事が意見陳述に臨む。