AIが野菜の規格を判断します! 作業効率の向上も 2020年に商品化へ 沖縄の企業がシステム開発


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
AIによる農作物選別機を開発したメディアトランスポートシステム開発事業部の高本仁さん=21日、中城村北上原のメディアトランスポート

 システム開発を手掛けるメディアトランスポート(中城村)はこのほど、農業生産法人の西原ファーム(西原町)と協力して、人工知能(AI)で農作物の等級を選別できるシステムを開発した。選別したいオクラをカメラの下に置くと、AIが長さと曲がりを瞬時に読み取って等級を判断し、画面上に「A級」「B級」の規格を映し出す。手間が掛かり、熟練の経験が必要な選別作業をAIが行うことで、出荷作業の効率化や労働力不足への対応が期待できる。現在はオクラの選別のみが可能だが、今後は対象農作物を増やしていく。2020年に商品化し、西原ファームで導入する予定。県内農家に収穫時期に合わせて貸し出すことも目標にしている。

 大がかりな装置や煩雑な操作は必要なく、「ラズベリーパイ」という小型コンピューターをデスクトップにつなぎ、カメラを設置するだけの簡易な設定になっている。
 メディアトランスポートシステム開発事業部の高本仁さんは「ITに慣れていない人でも使いやすいように意識して開発した」と狙いを語る。
 西原ファームで収穫したオクラ計2400本で9600枚の写真を撮影し、1枚ずつAIに等級を学習させてきた。現在はオクラの長さと曲がりの2項目で等級を判断しているが、今後はしわやイボ、黒ずみの有無もAIに学習させて、判断基準を広げる予定だ。
 7月末から8月初旬には現場で実証し、西原ファームの新川潤社長は「新人でもスムーズに規格を判断し、一定の基準で出荷できる。作業時間が短縮され、業務の効率化にもつながる」と効果を語る。
 メディアトランスポートの中村友治社長は「人手が足りず、体力的につらい作業をする農家をITでサポートしたい。現場の農家に寄り添ったシステム開発で効率化を図り、もうかる農業を後押ししたい」と話し、省力化技術の導入が遅れてきた農業分野のIT化に意欲を示した。