【記者解説】3年連続、概算要求を同額にした政府の狙いとは…


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 玉城県政発足後初となる2020年度の沖縄関係予算の概算要求は、19年度、18年度と同額の3190億円となった。翁長雄志前知事が急逝した混乱の中でまとめられた19年度と同額となったことは「県の姿勢を様子見している」(自民党国会議員)との考えがにじむ。名護市辺野古の新基地建設を巡り、軟弱地盤の問題で国による県への計画変更申請や、国と県の裁判を控える中、年末の予算編成を見据えた双方の駆け引きも続く。

 県と市町村が協議した上で配分額を決める沖縄振興一括交付金は、19年度概算要求比65億円減の1187億円の要求額となった。県はハード交付金だけで1013億円を要望したが、要望額の確保は極めて厳しい見込みだ。

 一方、県を通さずに国が交付先を決める沖縄振興特定事業推進費は、19年度当初予算比25億円増の55億円を求める。19年度創設したため同年度概算要求段階では盛り込まれておらず単純比較はできないが、基地問題で国と対立する県の裁量を徐々に削っていく流れを反映した。

 概算要求が同額だった18年度、19年度の本予算は、いずれも3010億円でまとまった。安倍晋三首相が約束した「21年度まで3千億円台確保」のラインとは10億円の幅で推移した。この経緯も踏まえ、政府関係者の間では「大幅な減額は難しい」との見方も強い。今後は本予算に、どこまで県の要望が反映されるかが焦点となる。 

 (知念征尚)