【記者解説】運用から約40年、老朽化進む軍用機を使い続けるわけとは…


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 2017年12月に宜野湾市の普天間第二小学校の運動場に窓を落とした米軍普天間飛行場所属のCH53Eヘリコプターが再び窓を落下させた。40年近く前に導入されたCH53Eの老朽化に加え、海兵隊全体の整備態勢の不備が背景にあるとみられる。事故が相次いでおり、米軍の安全管理意識の低さと訓練優先の「軍の論理」が改めて露呈した。

 CH53Eは1981年から運用が始まり、機体の老朽化が指摘されている。米軍は現在運用されているE型を順次退役させる予定だ。しかし、新しいK型の開発計画が国防予算の削減などで当初より遅れており、E型を使い続けるなど更新は進んでいない。

 米海兵隊機は2017年に名護市安部の海岸に垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが墜落するなど、事故が頻発している。県や宜野湾市などは事故の度に原因の究明や再発防止の徹底を求めてきた。だが、明確な再発防止策が実施された形跡はなく、深刻な事態として捉えようとしない米軍の地元軽視の姿勢が透ける。

 今回の事故を日本政府に報告したのも事故の翌日で、最終的に地元自治体に知らされたのは2日後だ。米軍は落下地点についても「東海岸沖約8キロ」という表現にとどめ、具体的に場所を明らかにしていない。

 事故の度に県内からは再発防止を強く求める声が上がる。日本政府は「再発防止を申し入れた」とするが、米軍機による事故は繰り返され、県民の命を脅かしている。政府には形式上の申し入れではなく、国民の生命と財産を守る責務を果たすため、より実効性のある対応が求められている。

 (明真南斗)