近世琉球伝える貴重な資料 首里城にまつわる書や衣装…


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沖縄美ら島財団に寄贈された尚育王の書(左端)、王文治の書(中央)など書跡資料=29日、那覇市首里桃原町の沖縄美ら島財団那覇事務所

 首里城に関わる近世琉球期のものとみられる書や衣装7件が29日、沖縄美ら島財団(花城良廣理事長)に寄贈・寄託された。書は琉球王国第二尚氏第18代の尚育王や中国、清朝中期の有名な書家、王文治らのものとみられる書6件(7点)と、中国が琉球国王に賜った夏用の衣装「御蟒紗(ウマンサー)」の可能性がある衣装1件。

 いずれも作者や時代背景など詳しいことが分かっておらず、沖縄美ら島財団は今後、調査研究を進める。一般公開に向けた補修作業も行う予定。

 寄贈・寄託された書や衣装はまさひろ酒造の比嘉昌晋(まさくに)代表取締役会長が約10年前に福岡県の骨董(こっとう)店から入手した。29日、那覇市首里桃原町にある同財団事務所で行われた寄贈・寄託式で比嘉会長は「沖縄にあるべきだと思い購入した。琉球文化の発展の一助になれば」と話した。

 財団総合研究センター琉球文化財研究室の幸喜淳室長補佐は尚育王のものとみられる書について「当時の琉球国王の創作技法がうかがえる貴重な資料だ」と指摘。衣装については「冬衣装の『御蟒緞(ウマントン)』は確認されているが御蟒紗は古文書の記述でしか分かっていない」とし、今後の研究の成果に期待を寄せた。