【記者解説】LGBT施策導入へ環境は整ったが…


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 県内全41市町村を対象に琉球新報が実施したLGBTなど性的少数者に関するアンケート結果では、施策などの必要性を「感じる」「ある程度感じる」と答えた自治体が約7割となり、関心の高さが浮き彫りになった。那覇市が同性パートナーシップ制度をいち早く導入したことで他の自治体で認識が高まったことなどが背景にある。一方、制度導入を検討するものの実際に導入した自治体は無く、今後の対応も注視される。

 那覇市が制度を導入したのは2016年7月。先行事例が示されたことで「那覇市や浦添市の行政サービスを参考にして検討する」(粟国村)との回答があるように、他の市町村が導入しやすい環境が整った。

 同時に県内企業ではホテルなどの観光業を中心に、性的少数者を積極的に受け入れるアライ(賛同者、支援者)が増加した。これらを念頭に恩納村は制度導入を検討しているといい、性的少数者に関する施策導入に向けた好循環も生まれている。

 同性パートナーシップ、その他施策などの導入を検討しているのはそれぞれ7市町村だ。各自治体が準備を進めていると評価できる側面もあるが、那覇市以外はまだ導入されていないのが実情で、当事者が“結婚”を待たされている格好だ。那覇市は施策の必要性に関する質問に対し「行政(市)が2人のパートナーシップ関係を認めることで、精神的な支えになるとの意見があるため」と意義を示した。自治体には当事者目線での早急な取り組みも求められる。
 (仲村良太)