県経済活性化に期待 沖縄概算要求 要望届かず懸念も


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 2020年度の沖縄関係予算の概算要求額は県が求める3500億円を下回る3190億円となった。県内経済関係者からは、県の要望に届かなかったことで今後の事業推進を懸念する意見も上がった。

 一方で、沖縄型特定免税店制度や航空機燃料税の軽減措置など沖縄関係税制の2年延長が求められた。

 沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「観光を推進していく上で大きな役割を果たすものだ」と税制延長による県経済の活性化に期待した。概算要求について「ハード、ソフトのインフラ整備など沖縄をグレードアップしていくことが、観光にとってプラスになる」と話した。

 概算要求では、泡盛の販路拡大などを支援する事業で要求額が大きく伸びた。県酒造組合の佐久本学会長は「『頑張れ』という激励だと受け止めたい。海外輸出の取り組みを含め、業界のV字回復と自立を目指し努力したい」と歓迎した。

 県建設業協会の下地米蔵会長は、近年は一括交付金が減少傾向にあることを懸念する。「公共インフラの整備に関する予算が落ちている。今は民間の活力もあり景気が維持されている。県も国と歩調を合わせ、十分な予算を獲得できるように取り組んでほしい」と要望した。

 県中小企業団体中央会の島袋武会長は「観光や流通の発展のために沖縄関係税制の延長は欠かせない。なくなった場合は大きな影響が出る」と指摘する。県内の中小企業は人手不足など多くの課題を抱えていることから「国は企業支援のためにしっかりと予算を付けてほしい」と願った。

 県商工会連合会の米須義明会長は「県が要望していた3500億円に届かず、厳しい概算要求だ」と感じている。税制延長については「国も沖縄経済に期待をしており、評価をしてもらったと思う」と語った。

 JAおきなわの普天間朝重理事長は、日米貿易交渉やTPP、EPAなどが県内農家にも打撃を与えていると感じている。政府に対して「次の世代が希望を持てる対策をして、新規就農者の支援に農業予算を位置づけてほしい」と訴えた。

 JA沖縄中央会の大城勉会長は「持続的な振興発展につながる農業生産基盤など、各種施策が講じられる予算確保にこれからも期待したい」と話した。