消費増税まであと1カ月 戸惑う沖縄県内中小企業 制度複雑、対応遅れも


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭
事務所内に掲示した消費税10%への引き上げや軽減税率を案内するポスターを紹介する那覇商工会議所の友寄洋志指導課長補佐=8月29日、那覇市久米の那覇商工会議所

 10月1日の消費税率10%への引き上げまであと1カ月となった。沖縄県内の中小・零細企業の一部では作業が遅れ、急ぎの対応を迫られている。生活必需品については税率を据え置く軽減税率の導入により10月以降、商品によって8%と10%の二つの税率が混在する。販売や仕入れで軽減税率対象の商品を取り扱う企業は、複数の税率に対応したレジやシステムの更新が求められるが、メーカーの生産が追い付かず、県内の販売業者が受注を止める状況となっている。軽減税率の区分など制度が複雑で、戸惑いが続いている。

 政府は増税による景気への影響を緩和する目的で、中小店でのキャッシュレスでの買い物を対象に原則5%のポイント還元を国費で助成する。3歳半までの子どもがいる世帯や所得の低い世帯には、市町村を窓口にして「プレミアム商品券」の販売も始める。

 一方で、米中貿易摩擦の影響など国内景気に後退感が出る中での増税に、「沖縄観光の7割を占める国内客が財布のひもを締めると県経済にも影響が出る」(久高豊りゅうぎん総合研究所専務)と懸念は強い。

 県内大手の量販店では、サンエーが既に全店舗で軽減税率対応のレジを導入。タウンプラザかねひでなどを運営する金秀商事は9月末までにレジ更新は完了する予定という。

 来店者に軽減税率の線引きをどう周知するかもこれからの対応だ。飲食料品は軽減税率の対象だが、店内のイートインコーナーで飲食する商品は外食扱いで10%となる。調味料は税率8%だが、酒類扱いの「本みりん」は10%など、いかに消費者の混乱を回避できるか各社の悩みどころだ。

 アイスクリームのフォーモストブルーシールは「持ち帰り」でも「イートイン」でも価格差が生じないよう、本体価格を調整することで同額にすることを検討している。中小企業への増税分のポイント還元や設置費用の補助があるキャッシュレス決済では、A&Wを運営するエイアンドダブリュ沖縄が外国人客を中心にニーズが高かったこともあり、増税を機に導入することを決めた。政府は景気対策を通じ、世界的に見て後れているキャッシュレス化の普及につなげる考えだ。

 一方、本島内のある事業者は「一時的に補助金が出ても、キャッシュレス決済は手数料を取られる。店に端末はあるが普段は目に付かないように奥にしまっている」と本音も打ち明けた。