しまくとぅばの力表現 北谷で舞台劇「きたたんぬ道開拓人」 「言葉は文化の神髄」発信


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 【北谷】しまくとぅば歴史ドキュメンタリー舞台劇・第8回しまくとぅばONステージ「きたたんぬ道開拓人(みちあきんぐゎ)」(主催・町文化協会)が18日、北谷町ちゃたんニライセンターで開催された。同協会しまくとぅば青年部メンバーと社会人ら50人が、うちなーんちゅであり続けるため、言葉のアイデンティティーを自覚しなければならないというメッセージを聴衆に投げかけた。

「きたたんぬ道開拓人(みちあきんぐゎ)」を力いっぱい演じる出演者ら=18日、北谷町ちゃたんニライセンター(沖縄ハンズオンNPO提供)

 舞台は「言語の乗り換えはアイデンティティーの乗り換え」をテーマに、琉球諸語の研究者である大学教授らのインタビュー映像が冒頭に流れた。劇は沖縄戦前にあった方言論争や戦前戦後の方言札などを題材に、現代社会を言葉の姥捨山(うばすてやま)に例えた。

 出演者は、うやふぁーふじ(祖先)の言葉を忘れさせる教育がアイデンティティーを喪失させたとし、人種の序列は言葉の序列と強調した。しまくとぅばは方言ではなく、忘れられている沖縄の精神文化の神髄であり志情(しなさき)をよみがえらせる母語であるとも発信した。

 劇の後、会場からは大きな拍手が送られた。鑑賞した山岸豊さんは「言葉は地域の大切な文化でアイデンティティーだ。失われる言葉の問題を切り口に、非常に身近で誰の心にも響く舞台劇だった」と感想を述べた。