陸協、各体協に中止説明 全島一周駅伝 「箱根駅伝」のようなもの…存続求める声多く


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沖縄一周市郡対抗駅伝競走大会の中止を伝える沖縄陸上競技協会の國場馨会長=2日、那覇市の県立武道館

 沖縄陸上競技協会(國場馨会長)は2日、中止を決めた「沖縄一周市郡対抗駅伝競走大会」について、運営協力をしてきた14市郡の体育協会向けに那覇市の県立武道館で説明会を開き、来年2月の次回大会を中止することを伝えた。参加者からは安全確保の方法を見直したり、運営形態を変えたりして存続させることを求める意見が多く挙がった。

 沖縄陸協は現行規模での大会継続は困難としており、同大会の実質廃止となるが、國場会長は参加者の要望を受け、別の形での駅伝大会の開催については検討事項とすると説明した。

 沖縄陸協は中止理由について(1)レンタカーの増加による交通混雑の多発(2)レース中の渋滞に対する県民、観光客からの絶えない苦情(3)市郡の交通整理員の増員が困難(4)同時期に県内イベントが多く、大会車両の運行に支障を来していること―などを挙げた。

 それに対し、参加者からは中止理由に一定の理解を示す声が聞かれた一方で、多くは「人と関わりを持てるので、子どもの人間的な育成に良い大会だ」「大会を目標に練習している選手もいる」と存続を要望。「コースを変えて存続できないか」「ブロック開催のような形にはできないか」など具体的な提案もあった。既に練習を開始している市郡もあり、中止の決定時期や突然の通知に対しての不満も聞かれた。

◆「選手力」低下を危ぐ 市群関係者

 県内長距離選手の育成も担ってきた市郡対抗駅伝が廃止されることについて、運営への協力を含め、参加してきた各市郡の関係者からは強く存続を求める意見が出た。交通整理や安全の確保の解決が困難であることに、一定の理解を示す声もあった。一方、中止の決定が事後報告になったことには「もっと各市郡と議論してほしかった」と残念がる声も出た。

 国頭郡の島袋誠さんは、市郡対抗駅伝を「沖縄の『箱根駅伝』みたいなもの」と県内選手には重要な大会だったと残念がった。来年の中止を決めた沖縄陸協に「もっと別の解決を模索できたんじゃないか」と肩を落とした。

 八重山郡体育協会の柿本恵子副会長は「八重山は選手が少ないだけに、既存の大会がなくなるとさらに(競技人口が)少なくなってしまう」と懸念。大会の中止が「選手力の低下にもつながらないか心配」と継続に向けた代替案の提示を望んだ。

 われらがチーム、郷土のチームの背を押そうと応援も盛り上がる市郡対抗ならではの風景がなくなることを寂しがる声もあった。

 高校時代から10回以上出場してきた沖縄市の下地晃太さんは「世代関係なく、たすきをつなぐ大会は県内では唯一。こんな楽しい大会がなくなるなんて」とため息をつく。既に来年の大会に向け、練習に打ち込んでいただけに「チームの団結力が上がり練習にも熱が入っていた。(報告する)順番が逆だと思う」と語った。