「医療の質」確保で存在感増す 派遣日数、開始から1・5倍 しまナース 勤務環境の改善担う


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 沖縄県内16カ所の県立離島診療所に勤務する看護師たちの業務をカバーする「しまナース」が存在感を増している。1人体制の診療所看護師が、研修や法事などで島を離れる際に派遣される代替看護師だ。開始当初の2013年度、2人のしまナースの派遣日数は延べ201日だったが、16年度以降は延べ300日を超えている。19年度からは3人に拡充。代替要員にとどまらず、勤務環境の改善などさまざまな役割を担う。

 県病院事業局病院事業総務課の田仲斉医療企画監は「代替医師は全国各地にいろんな形であるが、代替看護師は珍しい」と語る。

 他県ではそれぞれの市町村が離島の診療所を運営するのが主流だが、沖縄では県立が多いのが特徴。県立16診療所は、いずれも医師1人、看護師1人、事務職員1~2人の体制だ。県は、離島診療所の医師が研修や学会参加などで島を離れる際に代わりの医師を派遣する「ドクタープール事業」を02年から実施している。

 看護師の場合は長年、拠点の病院から派遣していた。ただ、拠点病院の人繰りやシフトの関係で対応できないこともあり、診療所の看護師は着任後は島をなかなか出られない状況にあった。こうした勤務環境を改善しようと、13年度から「代替看護師派遣事業」が始まった。看護師が島を離れる際、代替の「しまナース」が派遣されている。

 しまナースの派遣は13年度は延べ201日だったが、16年度に初めて300日を超えて312日、17年度331日、18年度は300日だった。さらに、19年度から3人に増員。沖縄本島に2人、石垣市に1人配置することで、大まかに担当エリアが分けられるようになった。

 県病院事業局の担当者は、離島への観光客も増え、診療所の重要度は増していると指摘。「しまナースはあちこちの診療所を回ってノウハウを蓄積し、フォローする力も持っている。診療所医療の質の確保に欠かせない」と話した。
 (前森智香子)