【記者解説】安全への認識不足の表れ 異物混入を防げない市の対応とは…


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄県那覇市の公立こども園や小中学校で相次ぐ給食への異物混入は、安心安全な給食を提供することに対する市の認識不足の表れだといえる。

 市は公立こども園への給食提供を委託する業者を募集したが、今回異物混入が発生している業者1社しか手を挙げなかった。結果的に異物混入の増加を招いており、見通しの甘さは否めない。問題が発生してからの対応だけでなく、契約時のチェックも十分だったか検証が必要ではないか。

 市教育委員会は小中学校における異物混入の増加要因を「報告を徹底させたため」とみる。より実態が明らかになったといえるが、2年連続で70件を超えており改善には至っていない。小中学校の給食は市の施設や各校で調理されている。公共の施設でも異物混入が減っていないことを深刻に受け止める必要がある。

 公立こども園の保護者らに異物混入について公表する際の基準がない点も市の意識の低さが現れている。市が把握する保護者に報告した事例は園児が異物を口に入れた2件のみ。一方、取材に対して「保護者に随時報告している」と答えた園もあった。市は「公表の基準を年度内に整備する。『危険物』については当然公表する」としている。

 市は市立幼稚園のこども園化に合わせて2021年度からの給食提供体制の再編を計画している。安心安全な給食を安定的に提供できる計画が求められる。
 (伊佐尚記)