オートバイ事故による頚髄(けいずい)の損傷で肩から下半身にまひが残り、車いす生活を送る田島哲太さん(27)=宜野湾市=が6月から人材派遣会社のスタッフサービス・ビジネスサポート(本社・神奈川県)に就職し在宅勤務をしている。営業職員が外回りでもらった名刺データの誤字脱字を訂正する作業を担い、右手の小指でマウスを動かし1日平均20件をこなす。同様に在宅勤務する重度身体障がい者と共に9人で業務を担当し、1日に3回開かれるウェブ会議に参加し、業務の進捗(しんちょく)状況や疑問点を共有している。
浦添市の障がい者ITサポートおきなわで就労訓練を始めてから就職するまでの2年間、生活保護を受けていたという田島さんは「仕事が楽しい。自分で働いてお給料をもらってお金の重みも感じるようになった」と話す。
全国で255人の重度身体障がい者を在宅雇用している同社は、2018年から県内での採用を開始。自力で通勤することが難しく生活介助が必要な12人が在宅で働いている。
週30時間の就業で自由にシフトを組むため、介助や通院などそれぞれの生活スタイルに合わせた勤務が可能だ。
田島さんはシステムで読み取った名刺データを確認して修正作業を行う。
「会社名や名前が旧漢字のときは難しい」と話しつつ「休憩を忘れるくらい仕事に集中してしまう」と充実感をにじませる。
事故前は建設現場で働いていたという田島さん。「業種は違うが当時の『休みの日が楽しみ』という気持ちを思い出してきた。お給料をプライベートで思いっきり使えるのがいい」と働く喜びをあらためてかみしめている。
(上里あやめ)