2年間は生活保護を受けていた 事故で頚髄損傷、下半身まひの27歳男性が選んだ新たな職場とは…


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8月からデータ入力を担当し「休むのを忘れるくらい仕事に集中してしまう」と話す田島哲太さん=3日、宜野湾市の自宅

 オートバイ事故による頚髄(けいずい)の損傷で肩から下半身にまひが残り、車いす生活を送る田島哲太さん(27)=宜野湾市=が6月から人材派遣会社のスタッフサービス・ビジネスサポート(本社・神奈川県)に就職し在宅勤務をしている。営業職員が外回りでもらった名刺データの誤字脱字を訂正する作業を担い、右手の小指でマウスを動かし1日平均20件をこなす。同様に在宅勤務する重度身体障がい者と共に9人で業務を担当し、1日に3回開かれるウェブ会議に参加し、業務の進捗(しんちょく)状況や疑問点を共有している。

 浦添市の障がい者ITサポートおきなわで就労訓練を始めてから就職するまでの2年間、生活保護を受けていたという田島さんは「仕事が楽しい。自分で働いてお給料をもらってお金の重みも感じるようになった」と話す。

 全国で255人の重度身体障がい者を在宅雇用している同社は、2018年から県内での採用を開始。自力で通勤することが難しく生活介助が必要な12人が在宅で働いている。

 週30時間の就業で自由にシフトを組むため、介助や通院などそれぞれの生活スタイルに合わせた勤務が可能だ。

 田島さんはシステムで読み取った名刺データを確認して修正作業を行う。

 「会社名や名前が旧漢字のときは難しい」と話しつつ「休憩を忘れるくらい仕事に集中してしまう」と充実感をにじませる。

 事故前は建設現場で働いていたという田島さん。「業種は違うが当時の『休みの日が楽しみ』という気持ちを思い出してきた。お給料をプライベートで思いっきり使えるのがいい」と働く喜びをあらためてかみしめている。
 (上里あやめ)