宮古島市による市民提訴への市議会の対応は?


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市民を提訴する議案について議論する宮古島市議会=4日、宮古島市議会

 【宮古島】宮古島市議会は4日、市の不法投棄ごみ事業についての住民訴訟を巡り市が市民6人を訴えるための議案を審議した。市側は提訴した理由について「(住民訴訟の原告らが)明らかに市の行政の足を引っ張っているということで提訴を提案した」などと説明した。これに対し、与野党から提訴を疑問視する指摘が相次いだ。

 同議案は5日以降に開かれる総務財政委員会での審議を経て、市議会最終日の25日に採決する予定。市議会は与党多数だが、慎重に経過を見る与党議員も一定数おり、議案が可決されるかどうかは先行き不透明だ。市民からの反応や委員会での審議を経た後の市議会の動きが注目される。

 長濱政治副市長は提訴を決めた時期について、原告の市民らが今年7月に開いた訴訟の報告会に触れ「報告会で、いたずらに市の行為を不正であるかのように主張しており、それが引き金となった」と説明。その上で提訴理由を「(住民訴訟原告の市民らは)最高裁で受理されず、門前払いの判決が出たにもかかわらず報告会を開き、公然と虚偽の事実を主張して宮古島市の名誉を傷つけた」などと述べた。

 野党市議からは「議案が通れば税金を使うことになるが、市民への説明対応はどうするのか」と市民への説明を求める意見もあったが、市側は「議題として議案に上げており、それ以上の対応は考えていない」とし、説明会などの機会は持たない考えを示した。与党市議からも「市民が行政をチェックするのは当然のことで、今回あえて訴訟を起こす必要があるのか」などと提訴に対して疑問視するような意見も出た。

 不法投棄ごみ訴訟は2014年度の市のごみ撤去事業を巡り、事業後も大量のごみが残存しているにもかかわらず公金が支出されたなどとして市民有志6人が事業費返還を求めて16年1月に起こした。那覇地裁は18年3月、事業は適法と認め市民側の請求を棄却。福岡高裁那覇支部でも棄却され、今年4月には最高裁でも市民側の上告が棄却されていた。