FC琉球、残留へ正念場 降格圏迫る19位 7日のホーム戦への戦略は…


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 サッカーJ2のFC琉球は、前節のホームFC岐阜戦(8月31日)で惜敗し、順位は16位から19位まで転落した。21位の降格圏まで目の前に迫り、崖っぷちの状態だ。7日はタピック県総ひやごんスタジアムで、暫定20位(1試合未消化)の鹿児島ユナイテッドFCを迎え撃つ。下位同士の直接対決となり、ここで勝ち点を奪えるかが今後のJ2残留を大きく左右する。

ゲーム形式の練習で複数のポジションをこなす琉球の鳥養祐矢=4日、中城村のごさまる陸上競技場(喜屋武研伍撮影)

 前節はバックパスのミスや、守備時の寄せの甘さなど、緩みから2失点を喫した。後半は、上背のある上原慎也や突破力のあるハモンを投入し、攻撃の勢いを増して上里一将が1点返したが、エンジンが掛かるのが遅かった。

 4日は中城村のごさまる陸上競技場で練習を行った。ゲーム形式の練習に多くの時間を割き、新加入選手を含め、さまざまな組み合わせを試した。樋口靖洋監督は「敗戦から学習しないと話にならない」と課題の守備でチャレンジ&カバーを徹底した。攻めに転じるために、ボールを奪う守備について共通理解を促した。選手らは高い緊張感のまま練習に臨んでいた。

 対する鹿児島は、暫定で20位の位置にいるが、ここ5試合の成績は2勝1分2敗と、勝負どころを勝ちきった内容が多く、琉球の1勝4敗と比べても好調を維持している。前節の金沢戦は新加入のブラジル人FWルカオが躍動し、元琉球の枝本雄一郎が決勝点を決めるなど白星を飾った。

 昨季J2昇格を決めた琉球の攻撃の礎を築いた金鍾成監督が率いるだけあり、ポゼッションサッカーを貫いている。琉球の樋口監督は「鹿児島も主導権を握りたいと思う。守備でどうボールを奪い、いかに相手に握らせないかの勝負だ」と展望し、負けられない一戦へ気を引き締めた。

終始緊張感のある表情で練習に臨む琉球の風間宏矢

◆新戦力DF鳥養、MF風間ら 苦境打破へ活躍期待

 開幕から攻撃的サッカーを貫く琉球はここ数試合、守備のほころびから失点し、フィニッシュの精度を欠くなど勝ち切れない試合が続く。夏場の移籍期間で主力選手が入れ替わったのも要因の一つだ。チームを早急に再構築しなければならない中、DF鳥養祐矢やMF風間宏矢ら新戦力の活躍でいかに苦境を打破できるかに、期待がかかる。

 鳥養はサイドバック、サイドハーフと複数ポジションをこなせるオールラウンダーの選手だ。樋口靖洋監督が「まるで10年ぐらい在籍している選手みたいだ」と驚くように、練習では誰よりも声を出し、チームを盛り立てている。琉球にとって、潤滑油の存在となってきている。

 J1でプレーした経験のある風間は、岐阜では攻撃をけん引するだけじゃなく、豊富な運動量で守備にもしっかり参加してきた。徳島戦では前半32分に、兄の宏希からバイタルエリア付近でパスを受け、思い切り振り抜いて決定機をつくるなど、存在感を示した。

 残り12試合。20位の鹿児島との直接対決は、負けられない一戦だ。鳥養は「鹿児島は元琉球の選手もいて、かなりの意気込みを持ってやってくる。徹底的につぶし、勝ち切りたい」と意気込む。風間は「自分は攻撃の選手だが、守備からしっかりしたい。引かずに攻め抜く」と気を引き締めた。頼もしい新戦力たちは、次戦へ向け活躍を誓った。
 (喜屋武研伍)