位置情報、センチ単位で 琉大、静岡企業 「高精度測位」で共同研究 事業参加呼び掛け


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 琉球大学は6日、ウェブシステム開発などのシーポイント(静岡県、野澤浩樹社長)と連携し、センチメートル単位の位置情報をリアルタイムで測位できる「高精度測位(RTK―GNSS)システム」の共同研究を開始したと発表した。位置情報を測る固定基準局を琉球大学と那覇市内に設置した。年内に基準局を10カ所に増やし企業などに同システムを利用した新サービス創出実証事業への参加を呼び掛ける。参加企業には高精度の位置情報を無料で提供する。

 事業は県と沖縄ITイノベーション戦略センター、NTT西日本の協力を得て実施する。10カ所の基準局を設置することで、沖縄本島全域で高精度の位置情報を取得することが可能になる。関係者らによると、地域を網羅した形で高精度測位システムを無料提供する仕組みは世界的にも例がないという。

 現在、広い分野で活用されている衛星利用測位システム(GPS)は基本的に一つの人工衛星を利用しており、取得できる位置情報には数メートルの誤差がある。高精度測位システムは複数の人工衛星を利用することで誤差を補正し、リアルタイムで数センチ単位の正確な位置情報を得られる。

 同システムを活用することでバスやタクシーなどの自動車や農業機械の完全無人による自動運転、道路の車線ごとの渋滞情報取得、ドローンを活用した配達、工事現場などでの正確な測量など、さまざまな技術の開発が期待される。

 野澤社長は「全国でもできないような実証事業が沖縄で実施可能になる。位置情報を使ったサービス先進地のヨーロッパを含め、世界から企業やエンジニアを誘致できる。それほどのことが沖縄で動き始めている」と意義を強調した。

高精度測位システム活用の共同研究、新サービス開発の取り組みを発表したシーポイントの野澤浩樹社長(左から4人目)、琉球大学工学部の玉城史朗教授(中央)、県、沖縄ITイノベーション戦略センター、NTT西日本の関係者ら=6日、西原町の琉球大学