「逆格差論」でシンポ 所得増のみの開発批判 名護


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
逆格差論について議論する(左から)真喜屋美樹名桜大学准教授、稲嶺進前名護市長、島袋正敏初代名護博物館長、岸本洋平名護市議=6日、名護市の港区公民館

 【名護】いーなぐ会(名護市政を考える女性の会)は6日、「名護の原点=『逆格差論』を問い直す」と題したシンポジウムを名護市の港区公民館で開いた。「逆格差論」は1973年に名護市が打ち出した「総合計画・基本構想」の根底にある考え方で、所得増加のみを目指す開発を批判している。登壇者らは逆格差論に基づき、地域主体のまちづくりの重要性などを訴えた。

 シンポでは真喜屋美樹名桜大学准教授、稲嶺進前名護市長、島袋正敏初代名護博物館長、岸本洋平名護市議が登壇した。逆格差論を他地域との比較などを通して議論した。

 真喜屋氏は逆格差論が読谷補助飛行場の跡地利用に取り入れられ、紅芋の生産拡大を起点に菓子生産などにつながった事例を紹介。「(読谷では)『皆が知恵を出せばできるのではないか』と取り組んだ」と指摘した。

 稲嶺氏は名護市の歴代の総合計画を説明。自身の市長時代に取り組んだ再編交付金によらないまちづくりについて「『棚からぼた餅』のお金に頼らず、自立していくことが重要だ」と強調した。

 島袋氏は84年に完成した名護博物館について、市民参加型で建設した経緯を説明し「公共施設は市民にいかに使ってもらうかが重要だ。行政は柔軟に対応する必要がある」とした。

 岸本氏は父親の岸本建男元市長が同構想の策定に関わったことを紹介した。都市部と地方では生産物の単価でも大きな差があることを指摘し、「都市で生まれた技術を活用すれば、アンバランスの解消になる」と提言した。