米軍退去 市民喜び 本部港「これからも闘う」


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訓練用の船舶を載せた米軍車両の入港を阻止するため、シュプレヒコールを上げて抗議する市民ら=17日午後0時23分、本部町崎本部の本部港ゲート前(大城直也撮影)

 【本部】在沖米海兵隊が使用を通告した本部港では、17日早朝から市民や港湾労働者らが集まり、民間港の軍事利用に抗議の声を上げた。早朝、大型トレーラーにけん引された米軍の船舶が本部港の前に到着すると、労働者らは港の入り口に立ちはだかり、港内に入るのを阻止した。夕方に米軍が本部港の使用を断念して引き揚げると、市民らは「私たちの闘いの勝利だ」「これからも闘うぞ」と喜んだ。

 本部港前に米軍トレーラーや船舶、先導車が姿を見せたのは午前7時ごろ。港につながる道路に市民や港湾労働者らが集結し、「本部港を使わないで」「海兵隊は出て行け」と軍事利用に抗議した。全日本港湾労働組合沖縄地方本部の諸見力さん(48)は「港は私たちの働く場所だ。米軍が使うことで安心と安全が脅かされる。絶対に許すわけにはいかない」と語気を強めた。

 市民や港湾労働者らの抗議で米軍トレーラーと船舶は本部港に入れず、路上で立ち往生した。本部港を利用する地域住民やマリンレジャー業者、観光客らは、驚いた様子で米軍車両を眺めていた。本部町島ぐるみ会議の原田城二さん(70)=同町=は「観光客が増えている中、米軍の港の利用は観光に悪影響を与える」と懸念した。

 午後4時すぎに、船舶をけん引する米軍トレーラーが本部港内への移動を試みたが、市民や港湾労働者が再び阻止した。4時半すぎに米軍トレーラーは船舶をけん引したまま本部港を離れた。本部町議を務めた島袋吉徳さん(72)は「互いに力を合わせることで米軍をはね返すことができた。これからも闘いは続くと思うので頑張らないといけない」と力を込めた。