国と地方は「対等・協力」関係 辺野古訴訟で県が主張することは…


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 玉城デニー知事は意見陳述で「国の機関が私人になりすまし、国民しか利用できない行政不服審査制度を用いて地方公共団体の決定を覆すことができれば、真の地方自治は保障されない」と懸念を示した上で、県だけではなく、全国の地方公共団体に大きな影響を与える問題だと訴えた。

 地方自治制度は憲法上の制度として認められていること、99年の地方自治法の改正で国と地方公共団体との関係が「上意下達」から「対等・協力」の関係に改められたことに触れ、関与の法定主義や国の地方公共団体に対する関与は「必要最小限のものでなければならない」と指摘した。

 最後に裁判所に対し、「憲法の保障する地方自治の本旨や地方自治法の趣旨を踏まえ、地方の自主性と自立性が保障される本来あるべき国と地方の在り方を示す公正な判断を希望する」と要望した。

 県側の加藤裕弁護士は、国地方係争処理委員会や国土交通相の裁決で沖縄防衛局の「固有の資格」性を否定したことに対し、国と私人の区別の根拠が不明で恣意的(しいてき)だと反論した。また、16年の最高裁判決を前提に、国が埋め立て承認処分を行政不服審査法の対象となる行政処分と解釈することは「法の構造を全く無視するものであり、到底取り得ない」と反論した。

 さらに、本来審査請求すべきは承認撤回した謝花副知事の最上級庁の沖縄県知事であるという県側の主張に対し、国交相が自らが審査庁だとしていることについて「行政不服審査法の解釈を誤ったもので、都道府県知事から委任を受けた職員や機関による処分については、まず上級庁である都道府県知事による審査を経るのが大原則」と反論。「『裁決』の外形に名を借りた『関与』そのものが違法だ」と指摘し、地方自治法の趣旨に従い裁決の取り消しを求めた。

 国側は埋め立て承認撤回を取り消した国土交通大臣の裁決について「『審査請求その他の不服申し立てに対する裁決、決定その他の行為』に該当し『国の関与』に該当しない」と主張した。理由について「地方自治法は国の関与に関する訴えの対象として『国の関与』から『裁決』を明確に除いている」とし、違法性に関わらず「国の関与」には該当しないと強調した。

 県が指摘する裁決に関する瑕疵(かし)については「成立に係る瑕疵を有する裁決は裁決に当たらない」とした上で「国の関与に当たり得るという見解を有する余地があっても本件裁決には原告の主張する瑕疵はなく違法はない」と主張した。

 国側は「本件訴訟は訴訟対象にならないものを訴訟対象としたもので不適法であり、速やかに却下されるべきだ」と述べた。