8月27、29日に沖縄市体育館で行われたプロバスケットボールBリーグのプレシーズンマッチ琉球ゴールデンキングス対信州ブレイブウォリアーズ戦で、宮古島市出身の砂川卓嗣さん(33)=宜野湾市=が審判として、国内トップリーグの舞台に立った。与勝第二中学校の教員を務めながら、県バスケットボール協会に所属する審判としては2人目となるS級の資格を取得。「選手とコーチと共に良いゲームをつくる手伝いをしたい」と日々審判の技術を磨き、コート内を走り続ける。
バスケの指導者を目指していた砂川さんは、宮古高3年時に県公認審判の資格を取得し、高校総体などの公式戦で笛を吹いた。大学時代には日本公認審判を取得するなど、審判の道を順風満帆に歩んでいた。
だが、大学を卒業した直後は若さもあり、傲慢(ごうまん)な態度を取っていた時期もあった。「プレーヤーを尊敬しておらず、『自分が吹いてやっている』という気持ちがあった」。判定を巡って監督らから注文が付くこともあり、先輩から「お前は何のために審判をしているのか」と声を掛けられても答えられず、審判の道を続けていけるのか悩んでいた。
転機は2010年美ら島総体県予選の男子準々決勝。当時、九州3位の興南に対し、無冠の北中城が挑んだ試合。誰もが興南の勝利を疑わなかったが、試合は競り、最後は北中城が逃げ切って勝利。無我夢中で笛を吹いた砂川さんは「震えが止まらなかった」。
「いいゲームだった」と両校の監督から声を掛けられた。「真っすぐに試合に向き合おう」。積極的に選手や監督と会話し、良いプレーをしっかりと見ることができるようになった。
17年にBリーグ2部で審判デビューし、18年に日本バスケットボール協会S級審判を取得。「審判仲間や試合を通しての経験があったから今の自分がいる」と語り、1部の試合でシーズンを通して審判を務めることを目標に、謙虚に、前向きに活躍の幅を広げていく。
(池田哲平)