ごみ訴訟「被害者は市」 宮古島市民逆提訴 副市長、再提案を示唆


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長濱政治副市長

 【宮古島】沖縄県宮古島市の不法投棄ごみ撤去事業の住民訴訟を巡り、市が原告市民を名誉毀損(きそん)で損害賠償を求め提訴する議案を提出した件で、長濱政治副市長は20日、「名誉毀損を受けた被害者の市に対して訴えの提起を抑制するのは反民主主義だ」と見解を述べ、撤回した議案の再提出を示唆した。市議会一般質問で提訴に対し報道などで批判が上がっていることを指摘する上里樹氏(共産)への答弁。

 市側の提訴理由について、上里氏が過去の判例に触れながら、今回の提訴が「訴えることができても、名誉毀損に問えないこともあるが、それでも訴えるのか」と質問。これに対し、長濱副市長は「原告である市民による名誉毀損行為がどこまで許されるのかについて争いがあれば、被害者(である市)が司法的救済を求めて提訴することは許容されるべきだ」と答弁。「原告市民の権利のみを見るのではなく、被害救済の観点からも検討されるべきだ」と強調した。

 議会終了後、長濱副市長は「市民の裁判を起こす権利を圧迫しているとか、萎縮させているわけではない」としながら、原告市民らの主張について「なぜそれだけが民主主義なのか。被害者の方も守られる必要がある」と強調した。