水道水汚染「検証を」 専門家が安全性を疑問視するわけは…


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在沖米軍基地でのPFOS汚染問題について講演するジャーナリストのジョン・ミッチェル氏(奥)=19日、那覇市内

 在沖米軍基地内が汚染源と疑われる水道水の有害物質汚染問題に危機感を抱く女性らが設立した「水の安全を求めるママたちの会」は19日、基地汚染問題に詳しいジャーナリストのジョン・ミッチェル氏を招いた勉強会を那覇市内で開いた。

 ミッチェル氏は県内7市町村に供給する北谷浄水場の水道水から有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)が検出されていることについて、県が水道水は「安全」だとしている点を疑問視し、検証が必要だとした。

 北谷浄水場が供給する水道水ではPFOSが1リットル当たり約30ナノグラム検出されている。県はこの値が米環境保護庁の生涯健康勧告値70ナノグラムを下回っており、安全性に問題はないとしている。ミッチェル氏はこれについて、米国では州政府が10ナノグラムなどのより厳しい基準を独自に採用する動きが続いていることに触れ、「県の参考基準は時代遅れではないか」と指摘した。

 ミッチェル氏はPFOSによる基地汚染はドイツや韓国の米軍基地でも問題となり、米軍は受け入れ国による調査や浄化に協力してきたが、日本では受け入れ国の調査を拒否してきたと指摘。米軍による汚染調査のデータは日本政府に提供されたが、政府は内容を国民に公開しておらず「日米地位協定が問題の根底にある」と話し、実態解明の必要性を強調した。

 参加者からは、血中のPFOS濃度を計測するのを行政が支援する仕組みを求める声などが上がった。